23 ページ23
思い過ごしならそれでいいと思っていた。
自分が傷付くことになったって、Aはもう俺にとっては大切な人にはかわりないから。
JH家の前着いた
JH出てこられる?
A出るね
カトクを送って直ぐに既読がつく。
そのまま待っていれば返事が来て直ぐにAが家から出て来た。
｢何か久しぶりだね｣
JH｢うん。おかえり、A｣
｢……ただいま｣
家から出てきたAの表情はやはりどこか無理しているのが分かる。
おかえり、と俺が告げれば、どことなく安堵にも似た息を小さくついたAに日本で何かあったのは明白だった。
JH｢そんなに時間は取らせないから、近くの公園で話そう｣
そう言ってAの腕を引いて、Aの家から10分程の小さな公園の中へと入りベンチへと腰掛ける。
Aにも隣に座るように促せば、少しだけ離れた位置へと腰掛け、視線は自身の膝の上で組まれた指先に注がれていた。
JH｢ごめん、回りくどく聞くの苦手だから単刀直入に聞くけど、日本で何かあった？｣
言えば、Aの肩がびくりと跳ねた。
やはり俺の見立て通り日本で何かがあったらしい。
しかし、肝心のAは黙りを決め込んでいて、中々口を開く気配を見せない。
少しでも仲良くなれたと思っていたのは自分の自惚れだったんだろうかと自信をなくしかけた時、Aが遠慮がちに口を開いた。
｢……まだ、自分でも自分の気持ちがよく分かってないの。だから、きちんと整理してからジョンハンくんには聞いて欲しいんだけど、聞いてくれる？それまで待っててもらうことになるんだけど。………なんて、こんなの我儘でしかないね。ジョンハンくんが優しいからって自分勝手なこと言ってごめん。今の忘れて｣
JH｢俺たち友達でしょ？それともそう思ってるのは俺だけ？いくらでもAの話なら聞くし、いつまででも待つよ｣
耐えるように強く握り込まれた指先を開くように手を重ねれば、驚いたようにAの目が開かれる。
そして、力なくゆるゆると下がった瞳とほんの少しだけ上がった口角は今にも泣き出しそうで。
それでもAが泣くことはなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 531人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
moco(プロフ) - はじめまして。引き込まれて夜中まで一気に読んでました^^;素敵なお話ありがとうございました♪続編もお待ちしています(*^^*) (2021年11月4日 19時) (
レス) @page50 id: b8fe820ef0 (このIDを非表示/違反報告)
しろもち(プロフ) - そのさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです😭貴重なお時間を割いて感想を書いてくださり本当にありがとうございます！ (2021年10月19日 13時) (レス) id: 726cd132f0 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - はじめまして。この作品を読んでとてもあたたかい気持ちになりました。私はジョンハンペンなのですが、切なく儚く恋しい青春の1ページを切り取ったようなこんな素敵な作品に出会えて、大好きなお話がまた一つ増えました。また他のお話も楽しみにしています☺︎ (2021年10月19日 10時) (レス) @page50 id: c07bdef56b (このIDを非表示/違反報告)
しろもち(プロフ) - つな缶の神様さん» 久々に小説を書き、めちゃくちゃドキドキしながら投稿したので、そう言っていただけて嬉しいです！こちらこそ貴重なお時間を使って読んでコメントまで残してくださってありがとうございます！ (2021年10月14日 18時) (レス) id: 726cd132f0 (このIDを非表示/違反報告)
つな缶の神様 - とても続きが気になります！素敵な小説を書いてくださって、ありがとうございます！ (2021年10月14日 18時) (レス) @page8 id: cd2586cfeb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろもち | 作成日時：2021年10月14日 9時
