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ガラガラと慣れた手つきで美術準備室の扉を開けて奥の扉に手をかける。
いつも通り出来るだけ静かに部屋へ入るが、それでも彼女、Aは俺が来たことを察知すると律儀に挨拶してくれるのが恒例になりつつあった。
｢いらっしゃい、ジョンハンくん｣
JH｢あれ、もう向日葵は終わり？｣
｢あれはもう仕上げ段階だから、気分転換がてら次の製作に取り掛かってるの｣
ふーん、と零していつもの椅子へと腰掛ける。
あれから毎日通って分かった彼女のことはこれといって多くはない。
名前はAA、日本人で両親の仕事の都合で中学生の頃に渡韓していること。
同じ高校2年生で隣のクラスだったこと。
友達は多分いないこと。
毎日課後は美術部で活動を行っていて、そのため昼休みにだけ美術準備室へ訪れていること。
かれこれもう1ヶ月はここへ通っているのに、彼女の表情はほとんど変わらないということ。
変わったことといえば敬語はなくなったし、ジョンハンくんと呼んでくれるようになった。
あと、俺があまり変わらない表情を読み取れるようになった。
例えば驚いた時は、ほんの少しだけ目を見開いて綺麗な形のアーモンドアイが丸くなるし、俺がからかえば少しだけムッとしたように眉間が近くなる。
でもほんとにどれもが微々たる変化で、彼女自身にその自覚はない。
JH｢笑えば絶対可愛いのにな……｣
教室でぽつりと零せば、一緒に昼飯を食べていたジスとスンチョルが反応を示した。
SC｢何が？｣
JS｢そういえば、最近よくどこか行ってるよね｣
SC｢昼休みだろ？飯食べたら直ぐいなくなるもんな｣
で、どこにいるの？とジスに促されて、ここ最近美術準備室へと足を運んでいることを告げる。
そして、Aと会っていることも。
2人は女子と交流をあまり持たない俺だからか、意外だという反応をし、そして興味を持ったようでいつもよりも瞳の奥が愉しそうに揺らめいている。
JS｢そういえばその子、一時期話題になってたね｣
JH｢え、そうなの？｣
JS｢なんだっけ、ほら、玄関に大きく飾られてた絵あったでしょ？何か大きなコンクールで大賞とったっていう。あれ、あの子の作品だよ｣
SC｢ていうか、そもそもその子、めちゃくちゃ見た目が綺麗なのに誰とも交流を持たないし、ずっと無表情だから別の意味でも話題になってただろ。美術室の妖精とか呼ばれて、最早高嶺の花扱いされてるぞ｣
何だって、どっちも初耳すぎる。
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moco(プロフ) - はじめまして。引き込まれて夜中まで一気に読んでました^^;素敵なお話ありがとうございました♪続編もお待ちしています(*^^*) (2021年11月4日 19時) (
レス) @page50 id: b8fe820ef0 (このIDを非表示/違反報告)
しろもち(プロフ) - そのさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです😭貴重なお時間を割いて感想を書いてくださり本当にありがとうございます！ (2021年10月19日 13時) (レス) id: 726cd132f0 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - はじめまして。この作品を読んでとてもあたたかい気持ちになりました。私はジョンハンペンなのですが、切なく儚く恋しい青春の1ページを切り取ったようなこんな素敵な作品に出会えて、大好きなお話がまた一つ増えました。また他のお話も楽しみにしています☺︎ (2021年10月19日 10時) (レス) @page50 id: c07bdef56b (このIDを非表示/違反報告)
しろもち(プロフ) - つな缶の神様さん» 久々に小説を書き、めちゃくちゃドキドキしながら投稿したので、そう言っていただけて嬉しいです！こちらこそ貴重なお時間を使って読んでコメントまで残してくださってありがとうございます！ (2021年10月14日 18時) (レス) id: 726cd132f0 (このIDを非表示/違反報告)
つな缶の神様 - とても続きが気になります！素敵な小説を書いてくださって、ありがとうございます！ (2021年10月14日 18時) (レス) @page8 id: cd2586cfeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろもち | 作成日時：2021年10月14日 9時
