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昼食はジスとスンチョルに奢ってもらい、ダンス部のパフォーマンスの前にAの学内個展に行くことにした。
個展は関係者等が主で学生は少なめだ。
受付の事務員さんに通されれば、中に入った途端大人たちがAを見つけるなり賞賛の言葉を投げ掛けた。
当の本人はなんとも言えない顔で対応している。
Aは絵を描くことが好きで、それを評価されることは嬉しいがそこに重きを置いていないと以前言っていた。
だからこそAは絵の価値をお金に換算されるのが苦手なのだとも。
勿論、絵を気に入ってこの値段で売って欲しいと言われれば素直に嬉しいが、大概がこのレベルなら幾ら程の値段がつくだろう、ここの大学の推薦は手堅いだろう等、作品のことは二の次かのような言われかたをすると素直に喜べないのだという。
無理矢理作られた笑顔が見ていられなくて、さり気なくAを大人たちの群れから連れ出した。
「ごめんね、ありがとう」
JH「いや、大丈夫?」
「うん、まあ良くあることだし大丈夫」
それより、と空気を変えるように明るい声を出したAが作品の説明をしてくれる。
JH「あれ、これ………」
そんな中、向日葵の絵を見つけた。
俺たちが出会った頃の絵だ。
「ジョンハンくんが美術準備室へ来た時の作品だよ。よく出来てるでしょ」
制作過程はずっと横で見ていたが、こうして飾られるとまた違った雰囲気を出していた。
ジスとスンチョルは、例の1年生の頃に玄関に飾られていた作品を見て懐かしいねと言っていたが、俺には向日葵の絵の方がずっと懐かしい気持ちになる。
向日葵の絵を皮切りに、見知った絵達が幾つか並び、それを見てこれだけの月日を過ごしていたのかと急に実感が湧いた。
「ジョンハンくんと出会ってから出来上がった作品は3つね。何だかそんなに経っていない気がしてたから、もう数ヶ月は出会ってから経ってるんだって実感が湧くわね」
不意に隣に立ったAが同じことを考えていて、それだけで何だか少しは分かり合えたような気がして、じんわりと心の内側が温かくなった気がした。
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moco(プロフ) - はじめまして。引き込まれて夜中まで一気に読んでました^^;素敵なお話ありがとうございました♪続編もお待ちしています(*^^*) (2021年11月4日 19時) (レス) @page50 id: b8fe820ef0 (このIDを非表示/違反報告)
しろもち(プロフ) - そのさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです😭貴重なお時間を割いて感想を書いてくださり本当にありがとうございます! (2021年10月19日 13時) (レス) id: 726cd132f0 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - はじめまして。この作品を読んでとてもあたたかい気持ちになりました。私はジョンハンペンなのですが、切なく儚く恋しい青春の1ページを切り取ったようなこんな素敵な作品に出会えて、大好きなお話がまた一つ増えました。また他のお話も楽しみにしています☺︎ (2021年10月19日 10時) (レス) @page50 id: c07bdef56b (このIDを非表示/違反報告)
しろもち(プロフ) - つな缶の神様さん» 久々に小説を書き、めちゃくちゃドキドキしながら投稿したので、そう言っていただけて嬉しいです!こちらこそ貴重なお時間を使って読んでコメントまで残してくださってありがとうございます! (2021年10月14日 18時) (レス) id: 726cd132f0 (このIDを非表示/違反報告)
つな缶の神様 - とても続きが気になります!素敵な小説を書いてくださって、ありがとうございます! (2021年10月14日 18時) (レス) @page8 id: cd2586cfeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろもち | 作成日時:2021年10月14日 9時