僕だけのヒロイン【JH】

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ジスとスンチョルに紹介して以来、時折2人も加えて昼食を摂ることがあったりする以外は至って今まで通りの生活をしていて、特に関係性に変わりはなかった。


2人はAのことをAさんから名前呼びになって随分親しくなっているというのにだ。


出来れば先に進んだ関係になりたいと思っても、今は製作に忙しい時期だからと色々言い訳ばかりが浮かんできて中々積極的に行動出来ていないのが現状。


そのせいか、毎日連絡は取っているし毎日一緒に帰ってもいるし、最近では時々昼食を一緒にしているのにやはり意識されている様子はない。









自分の教室の机に突っ伏して項垂れていれば、スンチョルが苦笑を零した。


JS｢ハニ、最近ずっとそんな感じだね｣


JH｢意識してもらうのがこんなに難しいと思わなかったんだよ……｣


JS｢確かにカップルっていうよりも熟年夫婦みたいな空気感あるもんね｣


そう、ジスの言う通り初めは無言でも心地良かった空気感が最早馴染みすぎて今更そういう雰囲気になれない。


最近では慣れてきてくれたのか、以前よりも柔らかく笑う回数も増えてきて、関係性自体は随分といいと思う。


SC｢もう直ぐ文化祭だし、Aのこと誘ってみたらどうだ？｣


スンチョルの提案に、そういえば来月には文化祭かと思い起こす。


ダンス部では文化祭に向けたパフォーマンスに取り組んでいて、クラスでも模擬店の準備が行われていた。


JH｢A、文化祭に併せて個展の準備でも忙しそうなんだけど誘っていいかな…｣


Aはその才能ゆえ、学校側から校内で個展開催の依頼があったそうだ。


文化祭の後にはコンクールだって控えているし、彼女の負担にはなりたくない。


JS｢当日一緒に回るくらいならいいんじゃない？クラスの方の役割も個展に力を入れてるからって免除されてるみたいだし｣


SC｢個展の方の受付は学校の顔としてやるから事務員の人たちがしてくれるって聞いたし、当日はフリーだと思うけど｣


個展の方の受付も学校側がやるのか、それならAが忙しいのは文化祭までということになる。


文化祭後のコンクールには個展から1作品選んで出すと言っていたし、その後控えているコンクールは冬だから少し期間が空くと聞いていた。


JH｢一度誘うだけ誘ってみる｣


忙しければきっと申し訳ない顔をしながらも断られるだろう。


Aは自分の意見は日本人にしては珍しくはっきりと言うタイプだから。

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