36 ページ37
『私が澄晴から離れたのは、
私といても澄晴は幸せになれないと思ったから。』
「...え？」
私の言葉を聞くと、目を見開いた澄晴。
『鳩原先輩がいなくなって、私が支えなくちゃって思った。
でも、どうしてもあの噂が私の中で引っかかって、』
「噂、？」
『付き合う前からあったやつ。澄晴が鳩原先輩を好きっていう。
気づいたらその事しか頭になくて、私は澄晴のこと信じてあげられてないんだって分かった。
そんな私に支える資格なんかない。澄晴が一緒にいる人は私じゃない。
そう思ったから、一方的に離れた。』
澄晴の顔を見るのが怖くて、俯いたまま全てを話した。
『ほんっ、とうに、ごめんなさい。』
涙を堪えながら、頭を下げて謝った。
...これでいいんだ。本当のことを話せただけでもう充分だ。
そう思い、背を向けてその場を去ろうとすると勢いよく腕を掴まれた。
「バカだなー、ほんと」
その声に振り返ると、呆れたように笑っている澄晴。
ここまできても、なぜか余裕のある澄晴に苛立ちが増す。
「そんなことで俺から離れたAもだけど、こんなことで悩んでた俺も俺だね、」
『あんたにとっては“そんなこと”かもしれない。
でも、私にとっては...！』
俯いていた顔を上げ、目頭が熱くなるのを感じた。
『好きな人から離れなきゃいけないくらいの、ことだった』
私は震える声で、涙を流しながらそう言った。
泣き顔を見られたくなくて、俯くと腕を引かれ澄晴の腕に包まれた。
「ごめん、Aの気持ちちゃんと分かってなくて。」
『はなっ、してよ...』
そう言って突き放そうとするけど、全然ビクともしない。
「嫌だ。...今離したらまたAは離れていく。
絶対離さない。」
耳元で聞こえる澄晴の声はいつもの飄々としたものではなくて、
なにかを訴えるように真っ直ぐな声だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 276人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
seola(プロフ) - 霧夜さん» そうなんですか！そう言って頂けると書く側として熱意がこもりますね〜笑更新頑張ります！ありがとうございますm(_ _)m (2019年8月6日 21時) (
レス) id: ce41eb2ed5 (このIDを非表示/違反報告)
霧夜(プロフ) - 私の昔と全く同じ展開で、つい自分に当てはめてしまうほど作品に入り込んでしまいます、、笑 更新頑張ってください！ (2019年8月6日 16時) (レス) id: 1bb3c88886 (このIDを非表示/違反報告)
seola(プロフ) - 渚 さん» ありがとうございます！更新頑張ります！ (2019年6月18日 20時) (レス) id: ce41eb2ed5 (このIDを非表示/違反報告)
seola(プロフ) - 襲さん» いつもありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです！ (2019年6月18日 20時) (レス) id: ce41eb2ed5 (このIDを非表示/違反報告)
渚 - 更新頑張ってください (2019年5月20日 22時) (レス) id: cff17be18d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：seola | 作成日時：2019年3月11日 19時
