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監獄 ページ9

ヤバイ、と、中也は思った。

下を見た。

もう遅かった。


彼の体は、気がついた時には既に、中を舞っていた。


中「うおっ……!?」


落下すると同時に後ろを振り返る。

するといきなり、爆発が起こった。

真空に空気が侵入したために、起きたものだ。

彼は正面に吹っ飛ばされた。

重力を操り、壁に着地する。

炎の渦が、彼を追いかける。

それを見事にかわし、空気の上に立った。

中「一体どうなってやがる!アイツの異能は_____」


『遅いよ。よそ見は厳禁だ』


中「なっ……!」



今度は水。

水で出来た矢が無数に飛んでくる。


ぐるりと宙回転し、やっとのことでAの手首を掴む。


が。


『引っ掛かったねぇ』

彼の体を電流が走った。


気がついたときには、もう彼はボロボロになっていた。

なのに、Aには致命傷どころか、かすり傷一つつけられていない。


中「なぁ、アンタ、なんの異能力者だ、」


『私の異能《パノラマ島奇譚》は、“存在”を
操る。空気中の水蒸気の存在を膨張させれば、側からみれば水を操ってるようだし、炎の場合もうそうだよ』


ニッコリと笑う。


『ごめんね、変に付き合わせて』

彼女はゆっくりと近づいてきて、中也の背中に手を置いた。


すると、たちまち傷は癒え、服は元どおりに
なった。


中「あ、ありがとよ……」


彼はようやく、Aが幽閉されるに至った理由を、身をもって知った。

そのとき、足音が聞こえた。

彼女は何をおぼえたのか、小さく悲鳴を上げて、顔を真っ青にした。


扉を開けて入っていたのは、太宰だった。

『あ、ああ……い、い、いや、だ、こ、こな、いで、!』


するといきなり、太宰はAの首を掴んだ。

キリキリと指先に力を込められる。

太「君のせいで大変だ。どうしてくれるのさ」


『あ……がっ……はな、して……』


中也はとっさに理解した。

彼女は異能で全てを賄っている、ということを。

彼女自体の力は、平のマフィアよりも劣るだろう。

腕を振り解こうとするものの、それは叶わない。

重要なお知らせ→←中也君?


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作者名:丸ノ内マルフォイ | 作者ホームページ:http://subetenohazimari  
作成日時:2019年10月28日 22時

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