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壁の奥には ページ6

Aはふと目を覚ました。

今は何時?昼?夜?

春?それとも秋?夏?冬?

何も感じ取れない。

あたりを見渡すと、三百六十度の壁。

そこにきて、ようやく昨日の出来事を思い
出した。




たった一人自分がいるだけの空間に、この広さはおかしかった。



少しだけ異能を発動してみる。


どうやら使用はできるようだ。


壁と同化した扉は、依然、そこから動く気は
ないようだ。


彼女はまた、開けることを断念した。



したはものの、どうしてもこうしても気になるものは気になった。



数時間(少なくとも彼女にはそう感じられた)
悩んだ末、ようやく扉を開ける決心がついた。


あまり歓迎されていないようなドアノブを回すと、少し重い扉が、音もなく開いた。



ちょっとばかり顔を覗かせる。


_________誰も、いない。



彼女はなんだか空恐ろしく感じて、扉を閉めてしまった。



バタリと扉を閉めたと同時に、外へ出る方の扉が開いた。



そこには、赤髪の青年が立っていた。


彼女にとって、初めての顔だった。



『アナタ…誰』


それを聴くと、青年は大きなため息をついた。



「俺は中原中也だ。名前くらいは知ってるんじゃないか?」


『…知らない』


中「ホントかよ…お前、マジで五大幹部なんだろうなぁ?」



『うん。なんでこんなところにいるの』



中「話せば長くなるんだがな…五大幹部が幽閉されてちゃ不自由だろってことで、何だ?
俺がお前の世話役みたいなのをすることになったワケだ」


Aはこの間全く表情を変えず、この青年のことを、穴が空くほど凝視していた。



それにようやく彼は気づいたのか、



中「な、なんだよ、悪いか」



『全然』



中也は取り繕うにして、帽子をかぶり直した。

剣士と診療所→←扉の音


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作者名:丸ノ内マルフォイ | 作者ホームページ:http://subetenohazimari  
作成日時:2019年10月28日 22時

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