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一枚の写真 ページ4

「ねぇおじさん、この女の子知らない?」



福沢が乱歩にあったとき、初めて聞かれたのがこれだった。


彼が持っている写真には、着物をきた、乱歩とよく似ているような女の子が写っていた。


福「俺は知らん。彼女がどうかしたのか」




すると乱歩はこっくり頷いて、


乱「うん。この子ね、僕の妹なんだ。両親が
死んじゃったときに別れちゃってね。どうやっても見つからないから、色んな人に聞いてるの。残念だなぁ、知らないの」




福「知らん。似たような子供がいたら知らせよう」




乱「ほんと?ありがとう!」


彼はそういって、苦しいほどに笑った。



苦しいほどに。



そのとうり、彼は会った人会った人に、子供の事を聞いた。

だが皆判を押したように、知らないの一点張りだった。



その度に、やっぱ知らないかぁといって、
乱歩は笑うのだった。


福「どんな子供だったんだ?」


福沢が質問した。

が、乱歩は少し悲しそうな顔をして、


乱「実はねぇ僕、あんまりよく知らないんだ。一緒にいる事なんて、滅多になかったしね」



福「何故だ?兄妹だろう」



乱「あの子_____Aはイノーリョクとか云う力を持っててね、すっごい危険らしいんだ。Aはそのイノーリョクのなかでも、
飛び抜けて危険な力を持ってるから、あんまり刺激を与えない方がいいって、お医者さんに
云われたらしくて、僕は数えるほどしか会ったことがないよ」


異能、か、と福沢は呟いた。

きっと異能特務課の方に資料を回せば、すぐに結果が出ることだろう。


乱「だからあの子、いつも一人で遊んでたんだよね、なんだっけ、ほら、アレ、そうそう、
手毬唄歌ったりして、一人で手毬をついてたりとかして。あとは本読んでたんじゃないかな」


福「そうなのか」


なんだか、妙に可哀想になってしまった。


兄妹という建前で、生きてきたのだろう。


乱歩にとって一番近い他人は彼女だったに
違いない。


それほど強力な異能…特一級クラスだろうか。



福沢は乱歩に、異能特務課のことを教えてあげようとした。


だが、それなりによい方に拾われたのではなく、なにか後ろ向きなところに拾われていたら…そう考えると、どうしても教えてあげたいとは、心の底からは思えなかった。


彼は些か無念が残ったものの、ぐしゃりとそれを押しつぶしてしまった。


乱「そうなんだ」


乱歩はまた、苦しそうに笑った。

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作者名:丸ノ内マルフォイ | 作者ホームページ:http://subetenohazimari  
作成日時:2019年10月28日 22時

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