【まほやく】異世界で行方不明だった幼馴染と再会した。【男主】 (ページ34)

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再会した幼馴染が三十三人ページ34

シャイロックさんはパイプをくゆらせながら、不愉快そうに片方の眉を上げていた。

「マナ石を原動力にして科学道具で魔法を生み出すのです。」

「なら、人も魔法を使えるんですか?」

「ええ、何も犠牲を払わずに。」

冷たい溜息のように、パイプの煙を吐き出している。

「心も体も使わずに快適だけを生み出すなんて…、一体そこに何の快楽があるのでしょう。

私はどんな欲望も愛していますがあまりに無粋で、怠惰で…想像力に乏しい。」

「あんたの考え方は面白いな。

人間が魔法を使うのが嫌なんじゃなくて美意識として嫌なのか。」

「私は酒場の主ですから。」

瞳を細めて、シャイロックは微笑した。

子供をあやすように晶達を視線でたどる。

「美酒は誘惑します。美酒だけではなく、この世のありとあらゆる快楽に蛇のような誘惑が潜んでいる。」

「その誘惑は強力な魔法のように、人の心を絡め取っていきます…。

だからこそ、節度というものが美しい。

どんな美女の誘惑にも耳を貸さない聖者の苦悩のように、快楽の前の理性が最も官能的でしょう?」

「…同意するかどうかは別として。

あんたが話し始めると王宮の広間が夜のラウンジの空気になるな…。」

確かにそれは思ったけども…

「…節度も理性も手放した快楽には葛藤がありません。

葛藤がないものには深みがない。

深みがないものは味気がない、魔法科学は安酒のように多くの人々を酔わせていくでしょうが…。

いずれこの世界が経験したことのない最悪な二日酔いを起こさせますよ。」

ん？？？

なんか、シャイロックさんの話し声が聞こえたのかめっちゃ睨んでくる人がいるな…

シャイロックさん気にしてないっぽいけど。

しばらく経てばアーサーがヴィンセントさんに歩み寄って礼儀正しく挨拶を始めた。

『さてさて、俺は飲み物でも取りに行こっかな〜』

丁度空になったグラスを片手に晶に話しかける。

『ごめん、晶…一寸飲み物取りに行ってくるわ』

「あ、うん…!行ってらっしゃい、!」

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