15-3 ページ22
．
おれとマナトはどちらかと言うとわざわざそこに割って入ってまで話す方ではない。
「う゛っ、！ナナさん待って、口に入った、」
「閉じときなよ。あ、ちょっと顔に向けないで、！」
「あ、リップか」
唇に張り付く羽根に手を伸ばすマナトの姿を、ここぞとばかりにカメラに収めていく音が絶えず響く。「絶対オレらよりも多いよね？」そう言ったシュントに頷きながら、終始楽しそうな撮影に羨ましい、なんて。
程なくして撮影が終わり、カメラマンと二人が揃ってパソコンの前で写真を確認するその後ろから、シュントと一緒に覗きこむ。
シュントのクールな雰囲気や、自分の撮影とは雰囲気や色味もまったく違う写真。けれど、おれが気になったのはパソコンの中身ではなく、今目の前でカメラマンを交えて会話をしている三人、正しくはナナさんとマナトだった。
ナナさんと出会った頃は、何処と無く話しにくい雰囲気を纏っていた。
少し前まではテレビの向こうで活躍していた“有名人”で、その人がおれを認識したっていう妙な高揚感もあったし、そんな凄い人が先輩かという事も相まって、殊更オーラを感じたのだ。
とてもじゃないが自分なんかが話しかけていいのか？ なんてことを思ったりもしたけれど、ナナさんは意外にも面倒見が良かったし、自分が十代半ばの頃から仕事をしていたからか、十代相手には特に気にかけている様子もある。そんな人柄もあって思っていたよりもみんな早く打ち解けてはいたけれど…
「やっぱこれいいよね」
「ですね」
「いやいや、わたし眉間に皺寄ってるから」
「「だからいいのに」」
「ハモらないで」
「ナナさんこれは」
「あ、いいよねこれ」
おれと違ってマナトはワードセンスがあるれど、だからと言って仕事でもプライベートでも複数人の前で率先して話し切り出すようなタイプでは無い。
会話を振られれば勿論話すし、誰かに突っ込んだりもするけれど、ソウタやレオみたいに率先して会話を盛り上げようとか、おれに至ってはあんまり話しを振ったりもしない。
それに、シュントやリュウヘイみたいに上手く甘えられるタイプでもない。それはみんなでナナさんと一緒居る時も同じ。
だから、よく話をするソウタやリョウキならまだしも、マナトがこんな風にナナさんと会話するのがなんだか不思議に見えた。
「(距離っていうよりは…あー、でも二人で会話してるとこあんまり見ないだけで、)」
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 224人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミヤ(プロフ) - sさん» うわああああ！ただいまです！おかえりって！嬉しい！いやもうほんと1年半放置て…と、わたしも見返して引きました…笑 何度も読み返して下さっていたとは…作者冥利につきますね！今後も更新は安定しませんが、あまりお待たせし過ぎないよう、何かしら更新しますね！笑 (7月9日 21時) (
レス) id: bdfabfb18a (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - ミリアさん» ミリアさん、初めまして！そうですよね、1年半放置…たしかに目疑うか、と思いました笑 図々しいなんてとんでもない！むしろ影ながら待って下さっていたようで、本当にありがとうございます(*´ `*)更新は変わらず不定期になりますが、またお暇な時はいらして下さいね！ (7月9日 21時) (レス) id: bdfabfb18a (このIDを非表示/違反報告)
s - おかえりなさい！！😭更新日時を何度もえ？え？？と見直して、飛び上がりそうなほど嬉しいです😭本当に本当にミヤさんのお話が好きで、コメントを残して1年以上の間も何度も読ませていただいてました😭また更新ゆるりとお待ちしてます😭 (7月9日 7時) (レス) id: 1bcce7c74e (このIDを非表示/違反報告)
ミリア(プロフ) - 初めまして。初めましてなのに大変図々しいですが...ずっっとお待ちしておりました😭本当に大好きな作品で、幾度となく読み返しては、楽しませてもらっていました。なので通知欄にタイトルを見たときは目を疑いました笑 本当にありがとうございます！！ (7月8日 22時) (レス) id: 8d300cc72e (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - 白さん» と、興奮してしまいました。すみません。そして読んで頂けているなんて思わず…こちらこそ朝の貴重なお時間に読んで下さりありがとうございます〜っ！是非また、お暇な時にでもいらして頂けると幸いです！わたしも遊びに行かせて頂きますー！ (7月7日 10時) (レス) id: bdfabfb18a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミヤ | 作成日時：2022年1月27日 1時
