▷ ページ22
・
「＿＿ずっと感じてた。椿は僕たちと一線を引いてるって」
「！」
気づかれていたのか。
そう、私は家族とある程度一線を引いている。
前世の記憶を持っている子供など、気持ち悪いと思われるだろうと思って。
受け入れられないと思って。
父と母は私に優しくしてくれているのに、私は酷いことをしている。
分かっている、最低な行為だと。
「僕たちはそんな頼りないかい？」
「そういうわけ…じゃ……。ただ……」
「ただ？」
「受け入れてもらえるのか、どうか…分からなくて……」
そう、私は怖くて逃げているのだ。
……昔から変わらないな。
父はそんな私の手を握った。
「僕らは家族だ。そしては椿は椿だ。家族として、どんな椿でも受け止めるよ」
心が温かくなる。
この世界で、私は温かさを知ってしまった。
ずっと縋っていたい。
無くしたくない。離したくない。
全部、エゴだ。
「……私、前世の記憶があるの。信じられないかもだけど、この世界は私が前世で読んだ漫画の世界なんだ」
それを言うと、父はかなり驚いた顔をした。
しかしいつも通りの顔戻り私を抱きしめた。
私はポツリポツリと自分のことを話した。
前世での名前が分からないこと、死因も謎だということも。
「……それで、呪霊って言う怪物も違う漫画の世界に登場するの。ただ、あの女の正体は分からない。……もしかしたら私の前世と関わりがあるのかもしれないけど」
「なるほど。話してくれてありがとう。……今までこれほどのことを抱えていたんだね」
涙が出そうだった。
家族ってこんなにも温かいんだ。
宿儺のおかげで今まで孤独と戦わないで済んでいた。
心の拠り所が増えたのだ。
「もう大丈夫だよ。絶対僕たちが椿を守るから」
「ありがとう。でも、守られるほど私は弱くないよ」
「！はは、そうだね。一緒に戦おう」
「うん」
私は一人じゃない。
「にしても宿儺と本当に仲良しだね」
「あはは、もう長い付き合いになるからね」
「一緒の部屋にしてあげようか？」
「……は？」
私がそう反応すると、父は呑気に笑ったのだった。
これは…付き合っているのがバレている。
はぁ…打ち解けたと思ったけど、ちょっと気まずくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 635人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜椿 - 本当に犬○叉っぽく感じてきちゃった！おもしろいです！ (3月14日 7時) (
レス) @page13 id: d279ec966d (このIDを非表示/違反報告)
ハノン(プロフ) - 素敵な作品です、、、！！これから夢主ちゃんがどんなふうに成長するのか楽しみです。 (3月8日 19時) (レス) @page47 id: 1f618da4ab (このIDを非表示/違反報告)
妃夏(プロフ) - MR サナリアさん» 皆様に同じ返しになってしまうのでコメント返しは控えていたのですが、一応返させていただきますね。誤字だとは思ってましたが、わざわざ訂正ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しい限りです。これからもよろしくお願いします…！ (2月29日 21時) (レス) id: f1fc2f5254 (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - 今見たけど…髪小説じゃなくて神小説です。 (2月29日 21時) (レス) @page20 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - あぁ。ただの天才が髪小説を書いているだけだ。←褒めてます。 (2月28日 16時) (レス) @page15 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：妃夏 x他1人 | 作成日時：2024年2月25日 12時
