＊ ページ17
「……寂しくなりますね。」
『どうせ浅草にいるんだから、いつでも会えるでしょ？』
森羅さんからこんな言葉が出るなんて意外だった。まぁ、確かに彼にとっては寂しいのかもしれない。
しかし、他の皆さんは私の事など覚えていないのだ。そこにいる意味は、あるだろうか。
私がいることで、少しは事の真実にた近づけるかもしれないが……。
……だがもう会えない。
「……おい。本当にそれでいいのか？」
隣でほとんど黙っていた紅丸さんが、私に言った。これも意外だった。
だって…紅丸さんは、私を第7に入れたがっていた。それなのに……ここで、本当にいいのかと聞くのだから。
何か、変な物でも食べたのだろうかと疑ってしまう。
『いいんですよ……これで。こんな時だからこそ…変な人間が混じったら、混乱してしまうでしょ。』
「……。」
「……分かりました。シスターにはそう伝えておきます。」
そう…彼女ともこれでおさらばであろう。
彼女と再開する……“未来”が見えない。
第8とまた会うという未来はない。
『では、失礼しますね。』
「はい。」
縁側でぽーっと……。
「A。」
『なんですか？』
紅丸さんが呼ぶので反応した。
･･･あれ…怒ってる……？
一緒にいるとから分かる…この雰囲気。
明らかに怒っている。少し真面目に話しを聞いた方が良さそうだ……。
「お前…悲しくねェのか？寂しいんじゃねェのか？」
『……紅丸さん……。森羅さんと似たような事言ってますね。』
少しだけ、くすりと笑ってしまった。
前に…姉と紅丸さんが似ていると言っていたが……。充分彼も似ている。
そんな私の胸ぐらを掴んだ紅丸さん。
少し怖い。
「お前が悲しそうにしてるところなんて、俺は見たくねェんだよ……。」
『……!!』
本当にこの人は優しい。大好きと思える。
私も真面目にかえさなくては。
『……悲しく…はないですよ。どちらかと言うと、後悔が一番強いんです。』
「……。」
『第8にいる資格なんて…もう無いんですよ。』
私は彼らに迷惑をかけ、傷つけ……。
あの時出会ったのは、何でだったのだろうか。
私が…あの時、何事も無かったかのように……逃げるように立ち去っていれば……。
色々考えてしまう。
すると、紅丸さんは私を抱きしめた。
「泣いてる姿も…あんまり好きじゃねェ……。」
『……紅丸さんは…私のそばにいてくださいね……。』
「嗚呼。」
終わり
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作者名：妃夏 | 作成日時：2020年11月17日 21時
