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○●○
『え……？』
今、彼はなんと言った？A……？
忘れ去られた名前を、何故知っている。
私は混乱する。
思い出してしまったのだろうか。やはり、接触してしまったのがいけないのだろうか。
「お前はAって名前じゃねェのか？メールじゃ、その名前で来たが。」
『……!』
メール……。
なんだ、やっぱりスマホ使いこなしてるんじゃないですか。
てっきり……私の名前なんて、登録してないかと思っていた。
失敗してしまった。
『確かに私はAです。それは、前の話しです!今の私は、生まれ変わったんです。ハルなんです。』
「……俺は……。」
ザッ…と、砂利が混じった地面を踏む音がした。
さっきまで、距離があった私達。
そんな彼が、私のすぐ目の前にいる。
「俺は、Aの方が好きだ。」
『＿＿＿＿＿！』
そっと頬に添えられた手が、温かかった。
しかし、私はその手を退けた。
そう、自分でも分かっていたのだ。
この温かさは、もう触れてはいけないと。
そして、彼が私を思い出したと言うことを。
『……な、何で……。私を思い出してしまうんですか……。私を忘れていた方が幸せだったのにっ！！』
泣きながら彼を睨んだ。
震える唇をこんなにも憎く思ったのは、初めてだった。
「A。逆にお前は、俺…俺達に忘れられてて……幸せだったのか？」
『……!!』
今、幸せとは何かと心に問い詰めた。
私は……幸せが分からない。難しいのだ。
「俺だったら、幸せとは思わねェ。」
『……。』
「お前からは、悲しい気配を感じる。俺だって同じなんだよ。Aという存在が心から抜けた世界。何故だか、悲しい気分だった。」
もう、それ以上は言わないで。
涙が止まらなくなるから。
分かった。もう分かったんだ。
『……紅丸さん。私、また貴方に名前を呼んで貰えて嬉しいです。』
「……!!」
彼は、微かに微笑んで……。
また私の名前を呼んでくれました。
「A。」
『……!』
やっぱり。涙が止まらないや。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『ちょっと待て。貴様、本当に私の原作者か？』
作者「……。」
『私の容姿を間違えるとは、良い度胸だな。』
作者「トプ画は、ちゃんとするので……許してください。」
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作者名：妃夏 | 作成日時：2020年11月17日 21時
