セブチの公式彼女-完結編 (ページ7)

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MH side

このコンサートはきっと伝説に残るななんてどこか他人事に考えていた。

俺たちの大切な家族が去った。

その切なさから

皆の心は渇ききっていて

そんな心を誤魔化そうと一心不乱に練習に明け暮れて出来たステージだ。

完璧で

情熱的で

誰もが声を挙げたくなるようなステージ。

その情熱で止まることなく走ってきたステージがたった今、時を止めた。

泣きたくない

この曲が今、この会場の熱を全て奪っていってしまった。

ドギョム兄さんが歌えなくなってから皆、心にとどめていたなにかを解放するように涙を流し始めた。

さっき流れたばかりのVCRのように。

俺の隣にはジュン兄さん。

常におかしな兄さんだけど

今隣にいる兄さんはさすがの俺も頭が追い付かないほど変だった。

皆と同じように

頭を下げて

泣いている。

訳ではなく

声を圧し殺して

笑っていた。

MH｢...ジュニヒョン？｣

あまりに理解が追い付かない頭は

自分のパートを歌い忘れてしまう程で

MH｢ねぇ、大丈夫？｣

兄さん！

そう小声で問いかけるも一向に上がることのない頭

あぁ、このコンサートはきっと伝説に残るな。

ファンの間では涙の感動的なステージとして。

そして俺の記憶にはひやひやしたステージとして。

どちらにしてももうこんなコンサートはごめんだ。

　

A

こんな俺たちを見てるなら

早く戻ってきて。

俺一人ではこのおかしな兄さんたちをお世話できないよ。

可愛い妹。

そして兄さんの可愛い人。