大ちゃんは、俺のだから。-second-【ar×ym】 (ページ42)

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「先に離したのは、山田だよ」

ym 「うん、バカなことした。だからもう離さない」

「…怒ってないのか？」

ym 「怒ってるよ自分に」

「山田…」

ym 「なんで勝手にいなくなったの」

理由を問われて困惑する。

なんでか、自分でもよく分からない。

山田が薮くんと電話してるの見たら、

無性にイライラしたんだ。

でもそんなの、口に出せるわけがない。

だって俺は…。

山田のこと、好きなわけない…はずだから。

「お腹すいた」

ym 「えっ？」

「お腹すいたから、ドーナツ屋さんに行こうと思った」

ごまかすように、すぐそこの、

いつか山田と行ったことのある

ドーナツ屋さんを指さす。

すると山田は、頬をピクピクとひきつらせた。

ym 「お腹すいた…？」

少しずつ眉をつりあげ、俺を睨みつけてくる。

ym 「俺が電話してるときに、大ちゃんは空腹という自分の欲求のためにドーナツ屋さんまで行ったの」

あ、やっぱり怒りますよね。

「ごめん…」

ym 「誰も謝ってなんて言ってない！そんな大ちゃんのために、俺がどんな気持ちで探し回ったと思ってんの！」

か「あの、ドーナツおごります」

ym 「いらないよ！」

ピシャリと、強く言いきられた。

クソ。

甘党のくせに、ドーナツでもつられなかったか

ym 「やっと見つけたと思ったら、知らないおじさんに絡まれてるし…もっと危機感持って！」

ヤバイ、説教タイム来たこれ。

「山田、落ちつい…」

ギュッ。

ym 「俺がどんだけ不安になったか、大ちゃんはちっともわかってない」

突然、強く抱きしめられてビックリする。

背中に回された手が、

少しだけ震えているのが分かった。

ym「大ちゃん一緒にいると、安心するけどたまにすごく不安になる。さっきみたいに急にいなくなられたら、誘拐されてたらどうしようとか、このまま帰ってこなかったらどうしようとか、俺のこと嫌いになったのかなとか…そんのことばっか考えちゃう」

「…ちょ、山田。そんな冗談やめろよ」

ym 「冗談じゃないよ。…どうせ、大ちゃんは信じないだろうけど」

だってそんな。

そんな話、信じろって方が難しい。