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大切な事は、何ひとつ伝えられないくせに。
嘘でも、強引でも、
大ちゃんを俺の彼女にしてしまえば。
大ちゃんの事、繋ぎ止めておけるだろうって
思ってた。
そばにいさえすれば、ずっと大ちゃんと
一緒にいられる。
必ず、いつか好きになってもらえるって…。
そんな保証、どこにもないのに。
それでも、こんなズルいことでもしないと、
気が済まなかった。
大ちゃんのためじゃない。
全部自分のためだった。
こんなの、ヒーローって言わないよね。
自分が安心したかっただけなんだ…。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お粥を全部食べ終え、薬も飲んだ大ちゃんは、
再びベットに横になった。
ar 「山田」
「ん？」
ar 「…ありがとな」
大ちゃんが俺に礼を言った。
ズルくて、逃げてばっかの俺に。
偽りのヒーローに、ありがとうって。
ar 「山田がいてくれてよかった」
「…何言ってんの。俺はいつでもいるでしょ」
ar 「…そっか。そうだよな」
可笑しそうに微笑む大ちゃんは、
そっと目を閉じた。
「…寝る？」
ar 「うん。ちょっと眠くなってきた。…あ、山田帰っちゃう？」
パッと目を開け、不安そうに聞く大ちゃん。
いつもよりくっきりとした二重のまぶたは、
大ちゃんがしんどいんだろうことを表している
「今、いるっていったところでしょ。バカ」
そっと、小さな手を握ってあげた。
ar 「うん。そばにいて。今だけは…」
しんどくて弱っていたのか、
そんな弱音を吐いた大ちゃん。
思わぬ言葉に、俺の心臓が騒ぎだす。
今だけ？
そんなのムリ。もう遅いよ。
俺が大ちゃんに惚れた時点で、
大ちゃんは諦めるしかないの。
ずっと、隣にいてあげる。
てか、俺が大ちゃんのそばにいたいの。
笑ってる時も、泣いてる時も、怒ってる時も、
どんなときでも。
あぁ、そっか。
この気持ちがきっと…�牋Δ�しい��
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作者名：ありちゃん | 作成日時：2020年2月11日 13時
