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だけど目の前にいた大ちゃんは、
膝も、心もすべてボロボロで。
いつからか、笑えなくなるほどボロボロで。
泣き方すら忘れてしまった大ちゃんは、
ずっと一人で心の中にためてたんだよね。
…泣かせるの、遅くなってごめん。
出来上がったお粥は、少ししょっぱかった。
俺は流し台にたまっていた洗い物を済ませると
少し冷めたお粥を持って、寝室に戻った。
少しだけ、深呼吸してドアを開ける。
「大ちゃん、お粥作ったよ」
ar「…あ、ありがとな」
ベットでおとなしくしていた大ちゃんは、
目を開けて俺を見る。
あー、やっぱヤバイな。
すごい好き。
「食べれる?」
ar 「うん」
ムクリと起き上がった大ちゃんのそばに寄り、
お粥を手渡す。
そして、フラフラにならないよう
背中を支えた。
ar 「ふふっ…」
「…?何笑ってるの」
ar 「山田、お母さんみたい」
笑った大ちゃんを見ると、すごい心が弾む。
単純すぎるくらい、喜んでる俺がいる。
…それがたとえ、彼氏とは程遠い関係でも。
「薬も買ってきたから飲んで。で、早く寝よ」
ar 「ありがとな。あ、そうだお金…」
「いいよ、そんなの。大ちゃん忘れてない?俺は大ちゃんの彼氏だよ」
ar 「…っ」
…ずるいよね、俺って。
別に彼氏って思われなくていいとか、
そんなのウソだ。
ちゃっかり意識させようとしてるじゃん。
ar 「なんか、ごめん」
頬を赤く染めた大ちゃんは、
恥ずかしそうに目をそらし、
お粥をひ一口食べる。
…そうだよ。
もっと俺を意識して。
いのちゃんのことなんて忘れるくらい、
俺を見てよ。
…俺はズルい奴なんだよ。
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作者名:ありちゃん | 作成日時:2020年2月11日 13時