大ちゃんは、俺のだから。-second-【ar×ym】 (ページ28)

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67 ～Ryosuke.Y side～ページ28

━━チーン。

電子レンジが音を立てる。

どうやらサト●のごはんが出来上がったようだ

だけど俺はそんな音も耳に入らないくらい、

心臓がバクバクといっていた。

さっきのは、さすがにまずいって。

ar『俺、寂しくないよ』

繋いでる手を、ギュッと握り返す感覚。

ちょっとしんどそうな、トロンとした顔で

俺を見つめて。

ar『だって今、山田がいてくれてるじゃん』

その言葉は反則でしょ…。

思い出しただけでも顔から火が出そうなほど

熱くなる。

俺はキッチンの水道から水を出して、

そこに顔を当てにいった。

「…冷たっ」

水を冷たいものの、鼻の中に水が入るだけで、

とくに熱が冷めることはない。

だが、ここはガマン！呼吸を止めて

修行するの、俺！

息を止めてドキドキも止める作戦、決行！

「ぷはっ…！」

…ダメだ。

心臓、鳴りやまない。

無理でしょこれ、絶対に。

修行したせいで、前髪から雫が滴る。

その中の一粒が、涙みたいにポロッと
こぼれ落ちた。

それを見て思い出す。

こないだの収録で、大ちゃんが泣いた姿を。

俺以外の人を想って、泣いた大ちゃんのことを

絶対に泣き顔を見せようとしない大ちゃんに、

俺は…。

無理矢理にでも、強引でも、
せめて俺だけには涙を見せてほしくて。

大ちゃんの気持ちなんて、二の次で。

強がる大ちゃんの気持ちを無視してまで、

心の奥にせきとめられていた想いを、

全部言わせた。

絶対に受けとめられる自信があったから。

ar 『いのちゃんのこと、大好きだったのに…っ』

だけどやっぱ、大ちゃんの言葉は、

俺の心をひどくうずかせた。

…大ちゃんの本心が、涙となって

全部あふれてきた。

ar 『…急に別れるなんて言われて、気持ちの整理がつかない…っ。最低なことされたのに、いのちゃんを見ると、まだ揺らぐ…っ』

全部、分かってるから。

大ちゃんがまだ、心の片隅で

いのちゃんのことを思ってることくらい。

まだ、消しきれてないくらい。

…でもやっぱ、さ。

結構、痛い。

心がすごい、痛かった。