大ちゃんは、俺のだから。-second-【ar×ym】 (ページ16)

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「…は？」

何言ってんの、山田。

ym 「心の中にたまってるの、全部俺にぶつけて。いのちゃんのことも言って。愚痴りまくって、それで…」

つかまれてる腕から、山田のぬくもりが伝わる

あぁ、やっぱり…。

ym 「忘れてよ。いのちゃんなんて」

やっぱり山田は、俺を惑わす天才だ。

…なんなんだよ、ホントに。

やめろよ。山田のくせに。

そんなこと言われたら、泣きそうになるじゃん

俺は強いんだっつーの。

泣くとかそんなの、柄じゃねぇ。

性に合わない。

恥ずかしすぎる…弱音吐くとかありえねぇし。

「何その冗談。…弱音吐くとかありえねぇし。まだアイス買うほうがましだ」

ym 「」はいちご派だよ

…聞いてねぇよ。

ym 「てか、そんなもんいらない。ほら、さっさと俺の言うこと聞いて。全部吐いて」

「…山田バカじゃねぇの」

ym 「うん、バカかもしれない」

なんでそんなに、優しくするんだ。

ほら見ろよ。

山田が、そんなこと言うから、

面白すぎて目頭が熱くなってきたじゃねぇか。

…視界が、ボヤけて…。

あれ…？

頬にツゥーッと何かが伝う。

ほてった頬に、跡をつけてくみたいに

雫がひとつ、流れていく。

なに、これ…？

ym 「ほら見て。大ちゃん、ホントは泣きたかったんだよ。それを全部溜め込んでる大ちゃんの方がよっぽどバカだよ」

下から俺を見上げる山田は、

そっと俺の頬に手を添えた。

ムカつく言葉なのに、それとは対照的に、

すっこく優しい手。

…あぁもう、なんで山田に。

なんで山田に、泣き顔見られてるんだ俺は。

「…こ、これは汗だ」

ym 「違うよ」

「俺が泣くわけねぇじゃん！そこらの女子みたいに泣きわめくわけない…」

溢れる涙はポタポタと落ちて、

あらゆる所を濡らしていく。

ym 「大ちゃんは強いんじゃない。強がってるって言うんだよ」

「……！」

ハッとした。

まるで、核心をつかれたみたいに。

山田はそんな俺の、

一瞬の動揺を見逃さなかった。

ym 「認めてよ、早く」

否定することを許さないと言っているような、

容赦のない声。

でも俺は、ふるふると首を横にふった。

声を出すことができねぇ。

きっと今なにか言ったら、

みっともない声しか出ないって、分かってた。