大ちゃんは、俺のだから。-second-【ar×ym】 (ページ14)

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『ごめんね』

何かを弾く音が聞こえた。

俺はやっと動くことができ、振り返る。

「……っ！」

ウソ…。

ym 「俺の大ちゃんに、触んないで」

そう言った山田は、目の前のいのちゃんを

鋭く睨んでいた。

なんで、山田が…？

in 「へぇ、大ちゃんの彼氏。山田だったんだ。邪魔してごめんね」

それだけ言って、いのちゃんは意味深な笑みを

残して歩いてしまった。

「「…………」」

取り残された俺たちは、二人きりになって

無言になる。

…うわ、気まず。

ていうか、わざわざ収録抜けてまで、

なんでこんなとこに来てんだよ…。

俺は何もなかったように、振り返って

再び楽屋に向かって歩きだす。

だけどなぜか、山田も後ろからついてくる。

ついてくる。ついてくる。

無言でついてくる…って。

「ついてこないでくんない？」

ym 「無理」

…無理って、なんだよ。

俺が振り返って言ったせいで、

山田の真剣な顔に見つめられる羽目になった。

あぁもう、そういう表情はホントに参る。

どうしていいか分からなくなるんだ。

「今は、一人になりたい気分なんだけど」

ym 「俺は一人にさせたくない」

「……っ」

意味わかんねぇ。

やめろよ。

山田のくせに。

ym 「怪我してるでしょ。手当てする」

「いい。これくらい、自分でできる」

だけど山田は、俺の言葉なんて無視して

強引に手を掴んで引っ張った。

もう、なんで一人にしてくんないかな？

人が柄にもなく落ちこんでんだから、

ほっといてくれよ。

そんな優しく、手を握るなんてズルいだろ…。