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ym 「ほら、ゲームするから来て」
「…おう」
俺はカバンからゲームソフトを取り出した。
それを受け取った山田はゲーム機を操作して、
画面を表示させる。
山田の部屋、シンプルで綺麗だな。
思ってたより整ってるし、
部屋中に山田のいい香りがする。
爽やかで落ち着いていて、
シャンプーみたいな自然な香り。
なんで山田って、こんないい匂いがするんだろ
いつも隣にいるせいで、
すっかりお馴染みになったこの匂いは、
なぜかここでは少し緊張する。
しばらくして、TVには俺の好きなゲーム画面が
映し出された。
マジでこれから、山田とゲームすんの…？
ym 「そんなとこつっ立ってないで、早く座って」
自分の隣をポンポンと叩く山田。
俺は警戒しながらも、そこに座った。
すぐとなりには、山田がいる。
これ、あと何時間耐えればいいんだ…？
無理無理。窒息しそう。
だけどそう思ってたのは俺だけみたい。
なんと山田は思いの外、ゲームにはまっている
俺は、このゲームの主人公の男の子が好きだ。
笑える要素もありながら、
自分の弱さと葛藤しながら成長していく男の子
大切な人を守るために、
強くなろうと頑張る姿は感動ものだ。
…俺の好きな、ヒーローみたいな人。
三時間くらいたって、ゲームも折り返しの所。
このゲーム、実は泣けるシーンもある。
…あ、そろそろ、そのシーンだ。
そう思ってたとき。
━ﾌﾞﾁｯ。
突然TVの画面が、真っ暗になった。
「……？」
不思議に山田の方を見ると、
なんとリモコンでTVの電源を切っていた。
「何すんの、山田。いいところだったのに…っ！？」
…ちょ、ま、待って！嘘だろ！？
「お前、泣いてんの…！？」
ym 「う、うるせぇ！見んなブス！」
どうやら山田は、このゲームの男の子に
感動してしまったらしい。
正確には泣いてるというよりも、
目に涙をためて必死に耐えてる様子だ。
感情移入して泣けるとか、可愛いじゃん。
俺はははっと、笑みをこぼした。
感動してくれた事が嬉しかったから、
山田が泣いてるのは、見なかったことにしよう
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作者名：ありちゃん | 作成日時：2020年1月26日 14時
