大ちゃんは、俺のだから。【ar×ym】 (ページ36)

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「なに？」

山田が改まってるから、

なぜかドキドキしてしまう。

人気のない廊下に二人きり。

告白にはピッタリのシチュエーションだと、

心の片隅で思ってしまった。

そんなときに、山田の唇がゆっくりと動いた。

ym 「で…デーブイデー(DVD)ばっか見てると、デブになるぞ！」

シーン。

…え？

ちょっと待って。

待て、待つんだ有岡。落ち着くんだ。

今、目の前の山田はなんて言った？

もう一回、よく思い出してみよう。

はい、せーの。

〝デーブイデーばっか見てるとデブになるぞ〟

「………」

…うん。間違いない。

「え？喧嘩売ってる？」

ym 「ち、ちがうっ！今のは何かの間違い！早まらないで！」

それ、俺のセリフね。

俺だって、きっと何かの間違いだって、

そう信じたかったけど、

心のメモリーにはしっかりと記憶されていた。

どうやら、間違いではない。

たしかに山田は今、オヤジギャグを言った。

「山田、そろそろ病院に行ってきなよ。精神科ってところあるから」

まさか山田が、

オヤジギャグを好きだったなんて。

軽くショックを越えて、

もはやカルチャーショックだ。

ym 「ちょ、ちょっと待って！俺の話聞いて、大ちゃん！」

「悩み？うん、聞いてあげる」

ym 「違うっていってんだろ！」

人の親切を、罵声でぶっ飛ばしたぞ、こいつ。

ym 「これはさっき、大ちゃんがマネジャーの所に行ってる間に、圭人に言えって言われたんだよ！」

「え？圭人に？」

なんでそこで、圭人の名前が出てくるの？

ていうか、お前ら、俺がいない間に

どうやってDVDのギャグの話になったんだ。

ym 「大ちゃんを笑わせるための方法とか、け、圭人に相談したら…」

ボソボソと、だんまん小さな声になっていく

山田の顔は赤い。

「なに山田。俺のこと笑わせたいの？」

すると山田は、ビクッと肩を震わせた。

まるで、図星とでもいうように。

そして、俺を見つめるその目は

相変わらず真剣で。

ym 「うん…。笑わせてあげたい」

「……っ///」

真っ直ぐに、優しい声で、

そんなこと言うなんて…

反則だ…。