大ちゃんは、俺のだから。【ar×ym】 (ページ16)

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「どうしたんだ？」

ym 「…いや、なんでもない」

なんでもないって言うわりには、全然納得いってないみたいな顔してるけどな。
「ため息つくと幸せ逃げるぜ～」
また、ゲームをクリアし、山田に人生のアドバイスをしてやった。

ym 「…大ちゃんには分かんないだろうな。俺の気持ちなんて」

ポツリと弱音なような、本音のような、どちらとも取れるグチが、山田の口からこぼれおちた。
「えっ？」
…山田？
じっと見つめられ、ドキッとする。
「…な、なんだ？」
少しずつ近づいてくる山田の顔。
ゲームをしていた最中の俺はフリーズしてしまった。
わりと至近距離で山田は停止し、唇を動かす。

ym 「…す」

「す？」
…どうしたんだ？山田。

ym 「やっぱ、なんでもない」

びっくりした。
な、なんなんだ、いきなり。
心の準備をしていなかった俺はびっくりだ。
山田は気まずそうに挙動不審になりながらも、俺から離れた。
なんかさっきから、山田の様子が変だな。
きっと疲れているんだろう。
かわいそうに。
そういえば山田、何も昼食べてないんじゃ。
栄養足りてないから、さっきみたいに変になるんじゃないか…？
俺はふと、飲んでいた自分のスムージーに視線を落とした。
まぁ、栄養はあるし、いいか。
「山田」

ym 「なに？」

山田は無愛想にこっちを見た。
「昼まだだろ？俺のスムージー飲む？」

ym 「は？」

目が点の山田。
「お腹は満たされないかもしれないけど、栄養はあるから…よかったらだけど」

ym 「飲む！」

すぐさま抑揚のある声で、山田は言ってきた。
思いの外、嬉しそうな表情をしている。
「はい」
とりあえず俺は、スムージーを差し出した。

ym 「サンキュ」

と、スムージーに口をつけようとしたとき、山田は、ピタリとそこで停止した。
「…どうしたんだ？」

「……」
ジーっとスムージーを見つめる山田。
穴があくほどって言葉がピッタリだ。
「山田？」
…ん？
俺はそこで、気がついた。
山田などうやらスムージーじゃなくて、ストローをガン見してる。

ym 「…だ、大ちゃんっ！これ、か、間接…キス…！」

一応聞き取れたけど、カタコトすぎて意味分かんないよ。
そこらの外国人の方が日本語上手いよ。と思った。
「山田って潔癖だったっけ？間接が嫌なら、飲まないで」
俺は〝返して〟と手のひらを見せる。