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「好きだよ。A。」
思ってもいなかったハニからの返答にただただ困惑した。
“ジョンハンは諦めなさい。”
そう言って去っていったあの女の人の正体が気になった。
ハニをよく知っているような口振りで
とても綺麗な人だったから。
どうして私に構うの？
どうして？
どうして？
一度考え始めたら沢山の疑問が浮かんで
“私に付きまとって何がしたいの？”
そんな疑問をぶつけたんだ。
そしてその後この前のことを話そうと思った。
綺麗な女の人がね、私を訪ねてきたんだよ。
その人、私に何て言ったと思う？
ハニに近づくなって。
ただのファンでは無さそうだったけど。
そう言ってちょっと困らせようと思ったんだ。
だけどこれは
「好きだよ。」
どういう状況なの？
ハニが私を好き？
あんな出会い方だったのに？
私をからかって遊んでたんじゃないの？
ここに来て
やっぱり疑問だらけで
『ちょっ、ちょっと待ってよ。何、いきなり。』
混乱する頭をフル稼働させても到底理解できない彼の言葉は
「付き合おうよ、俺たち。」
「大切にするから。」
そう切実そうな瞳で見つめる彼の甘い甘い愛の告白だった。
「俺、付き合ったら優しくするよ。」
「ねぇ。」
目の前にいるこの人は
矢継ぎ早に私を狭い狭い崖の縁まで追いやるの。
“あなたには無理よ。”
“ジョンハンは手に負えない。”
分かってる。
本能が駄目だとサイレンを鳴らしてる。
この男は危険だと叫んでる。
だけど
「ねぇ、A。俺を幸せにしてよ。」
そう優しく微笑む目の前の天使に
YesでもNoでもなく
ただ頭を撫でた。
私はきっとこの時、まだ逃げられたんだ。
---なぁ、俺のこと捨てたりしないよな---
---お前にまで捨てられたら俺、死ぬから---
---全部Aが悪いんだ、俺を不安にさせるからっ...---
目の前の天使が
変わっていく姿なんて見ずに済んだのに。
続く (更新停止中)
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作者名：あり | 作成日時：2020年3月6日 23時
