複雑で単純5 ページ50
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「風呂出たぞー、金指くん入っておいでー。」
程なくして那須がリビングに戻ってきた。
綺麗に片付けられたローテーブルの上の課題が目に入ったのか俺を一瞬ジト目で見たものの特に何も言わない。
「おぉ、おかえり。俺も風呂入る!」
金指はすくっと立ち上がると
俺らの方を振り向いて冷蔵庫とか勝手に開けて飲み物飲んだりしていいからねと告げてから
風呂場へと向かった。
「わかんねえもんだなー、小さい子って。」
よく見てないといつも通り元気に見えるもんなと呟きながら、那須が俺の対面に腰を下ろして
金指が出て行った方を見やる。
「体調が悪い自覚あんまないんだと思う。
だからか体調がギリギリになってびっくりして楽屋で弱気になっちゃってたし。
まあ小さい子ってか高校生だけどな、
うちの最年少。」
「いやそれはそうだって分かってんだけどなあ?
末っ子ってそんなもんなんだろうな。」
「甘やかしすぎは良くないって言われてもな、
もう随分俺ら基準では厳しくなったつもりだし、
本人もだいぶ頑張ってるからな。」
「今日ついてくれてたスタッフさんさ、
俺らを引き止めるためにでたとっさの一言で
金指くんのこと出来ない奴扱いしちゃってさ、
藤井くん鬼の様な顔で反論してて震えたわ。
龍我がフォローしてたけど俺も腹たったから何も出来なかったし。」
「なんだよそれ、ムカつくな。
俺その場にいなくて良かったわ、
もしいたら腹立って
いらんこと言っちゃってた気がする。」
どんな文脈で金指をそんな風に腐したのかわからないけど、よく知らない奴にメンバーを批判されたらにこにこは出来ない。
「いやほんと、藤井くんだから冷静に怒れてたけど、
本人いる前でそんなこと言われなくてよかったわ。」
「せっかく褒めて伸ばしてんのにさあ、
邪魔すんなよな。」
それな、と同意した那須はニヤッと笑って
俺の目をじっと見た。
「…お前、俺が金指くんのお兄ちゃんに選ばれた時、ちょっと悔しがってただろ。」
「…なんだよ急に。そんなことないわ。」
「強がんなって。
でもまあ俺がぁー
かぁさしくんのぉー
おにいちゃんでぇええす!」
「だるお前!変顔やめろ!」
腹のたつ顔をした那須に
クッションを投げつけたけど、
スっとドヤ顔でかわされて
余計ムカついただけだった。
★
何の核心にも迫らないまま
続編移行すみません…!
次巻では
もう少し話を動かす予定です…( ˊᵕˋ ;)
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凛(プロフ) - 続き楽しみにしてます。 (2019年7月10日 14時) (レス) id: 8feaf83578 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コズミックりんご | 作成日時:2019年7月9日 17時