兄たちの心 弟知らず5 ページ43
.
なにか悲しいことや悔しいことがあったとき
いつも部屋の隅で静かに泣いてる金指くんが、
小さい子のようにしゃくり上げて泣いてるのを
久しぶりに見た。
「金指は浮所に泣かされたんだよなー?」
こちらに目もくれず金指の方を見ていた浮所が、
大昇の一声でようやく俺らの方に顔を向け 語弊があるわ、と苦笑する。
「ちょっと思ったより疲れちゃって
びっくりしたから涙が出ちゃったんだよ。」
な?と浮所が金指の鼻をむにっとつまんだ。
もう、!と浮所の手をペシペシする金指は
なんとか涙が止まったらしい。
「ごめん、俺のせいでこの後の予定
潰させちゃったんでしょ、?」
「いや、そもそも
この後の予定は無いはずのものだったから
大丈夫だよ。」
「そそそ、俺らも早く帰りたかったしな。」
真っ赤な目の金指くんに見つめられて
藤井くんと俺は慌ててフォローした。
あんな予定あってないようなものだったし、
と藤井くんがダークなトーンで言う。
「でも、やっぱり、ごめんなさい。」
金指が俺ら全員をぐるっと見回して
小さく謝罪したかと思えば
また目が潤み出してしまった。
「で!金指!今日は誰とお泊まり会する!?」
危険を察した龍我が
大きな声で話題を逸らしたのを見て
こいつも家族の中では兄だったっけな、と
俺は妙に感心した。
.
176人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凛(プロフ) - 続き楽しみにしてます。 (2019年7月10日 14時) (レス) id: 8feaf83578 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:コズミックりんご | 作成日時:2019年7月9日 17時