兄たちの心 弟知らず2 ページ40
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…いや、この人からしてみれば
なんてことない一言なんだと思う。
とにかく空いたスタジオと先生の時間を
無駄にしたくなくて、
できればその失敗を誤魔化したい、
俺らのレッスンだったってことにしたい、
だから俺ら全員をレッスンに出したい。
俺らを説得するために零れた
もっともらしく俺らを頷かせるための言葉。
確かに金指は入ってきたばっかりの時
本当にへにゃへにゃで背も小さくて、
中身も今よりうんと子どもで、
それは傍で見てきた俺らだってよく分かってる。
けどちょっと、あまりにも、
あんまりな言い方じゃね?
成長してないって、どこを見たらそうなるんだよ。
俺がもう一度キッパリ断ろうとしたその時、
「一世の成長はそんな分かりにくかったですか?
俺らは日々一世の成長に感動してるところです。
社長の審美眼ってやっぱ流石ですよねえ、
唯一の途中加入メンバーなんですよ、
本人は凄い大変だったんだと思いますね、
だから憎たらしいこと言ってても
可愛いですよ、やっぱり。ははは。」
隣の最年長から柔らかい口調で、
しかし物凄い早口と乾いた笑いが漏れた。
美少年の良心であり賢母、
何があっても怒らないとメンバーを言わしめた藤井くんが今笑顔でブチ切れていた。
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凛(プロフ) - 続き楽しみにしてます。 (2019年7月10日 14時) (レス) id: 8feaf83578 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コズミックりんご | 作成日時:2019年7月9日 17時