きっかけは突然に2 ページ2
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とにかく早く帰りたくてほぼ小走りみたいになりながら家路を行く。
玄関の扉を乱暴に開け靴を勢いのまま脱ぎ捨ててリビングへ。
「パパ!ただいま!」
いつもの何倍もの声でただいまの挨拶をしたのに返事がなくて怖くなった俺は廊下のあちこちのドアを開けながらパパを探す。
いない。
パパがいない。
広い家に1人ぽつんと立ち尽くしてみても、何の物音も聞こえない。
急いでケータイを取り出してパパにかけても電源が入っていないとアナウンスが繰り返されるばかりでどんどん不安になっていく。
どうしよう。
「だ、誰かに電話しなきゃ」
口からついてでた独り言は
びっくりするくらい情けない声で響いた。
とにかくパパがいないのは何かあったのかも。
事故?病気?わかんないけど!
でも普通に仕事なだけかもしれないよね、そうだよね。なのに大騒ぎしたら小さい子みたいだし。
で、でもじゃあパパが帰ってこなかったら?
俺朝まで1人なの? 明日もその次も帰ってこなかったら???
謎の白い光からすっかりパニックに陥っていた俺はどうしたらいいのか分からないまま時間だけが過ぎていく。
パパが帰ってくる気配のない玄関を為す術もないまま見つめていると手に持ったケータイがブルルと震えた。
表示を見ると「龍我」の文字。
あまりにも珍しい相手からの電話にびっくりしたけれど、とにかく誰かの声が聞きたかった俺は藁をも掴む思いで電話に出た。
「もしもし、龍我?」
「あ、金指??お疲れ様、遅い時間にごめんね!」
「ううん、大丈夫だよ。どうしたの??」
「俺間違えて、金指の洗顔持って帰ってきちゃっててさ、金指几帳面だから探してたりするかもとおもって電話した!ごめんね、探してた?」
「あ、そっか、そうだったの?気付いてなかったから大丈夫、だよ。」
「そっか、よかった。明日渡すね。」
電話の向こうで龍我がほっとしたように笑った気配がする。
「ん…?もしもし、金指?聞こえる?」
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凛(プロフ) - 続き楽しみにしてます。 (2019年7月10日 14時) (レス) id: 8feaf83578 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コズミックりんご | 作成日時:2019年7月9日 17時