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週末、3人は琴葉市を訪れた。Aが桐先中学に通っていた頃に、時々利用していた弓具店がこの辺りにある。
結局、弽は先輩が使っていたであろうお下がりが使えそうなことが判明したため、今日は弓道着一式と矢、矢筒を買いに来ていた。荒垣は使えそうな長さの矢を部室で見つけたが、矢羽のデザインやカラーが豊富にあることを知って、どうせならと新品を調達することにした。
荒垣と樋口は今後使う予定の弓と弽を持参していた。Aも自前の弓具を持って来ている。
辻峰周辺にも弓具店はあるが、Aは距離より質を取って、隣県までやってきた。
「弓持って移動するの、結構大変だな……」
「ねー。ちょっとぶつけちゃったし……」
「最初はそんなもんだよ。その弓も結構古いみたいだし、そんな気にすることないよ」
道具は丁寧に扱うようにと、Aはしつこいくらいに2人に言っていた。とはいえ、弓を持っての長距離移動は初めてだったこともあり、2人は度々末弭をどこかしらにぶつけてしまっていた。
雑に扱ったわけではないが、結果的に弓にダメージを与えていることをAに注意されるんじゃないかと思っていた2人だったが、意外にも軽く流されて拍子抜けする。
「学校にあったやつは丈夫な素材でできてるし、ちょっとくらいぶつけても大丈夫。気をつけるに越したことはないけど」
「へえ。素材とかあるのか」
「何でできてるの?」
「グラスファイバーとか、カーボンファイバーとか? 私も素材のことはあんま詳しくないけど。2人のはグラス。樋口のが
より正確に言えば身長ではなく
「Aのは〜?」
「これは
「おー、天然素材だ」
「うん。親のお下がりなの」
弓具店に向かう途中、そんな雑談をしていた。
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作者名:三宮 | 作者ホームページ:https://alicex.jp/riiiiidoooosog7/
作成日時:2023年6月26日 0時