【ツルネ】辻峰高校弓道部、発足秘話【辻峰高校】 (ページ5)

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荒垣と樋口は、早速弓を持とうとしていた。

「ちょっと待って、まだ実践は早いから」

「そうなの？」

Aはそれを慌てて止めて、初心者が的前に立てるまでの流れをおおまかに説明する。

「結構時間かかるんだな」

「危ないからね。地道にやるのが結局一番早いし、我慢できないなら弓道は無理」

「なるほど……」

2人は少し不満げな表情を見せたが、Aの説明には納得していた。

大人しく従い始めた2人に、Aはやや拍子抜けしつつ、徒手での練習を始めることにした。

その翌日、Aは2人の思惑通り、入部届を提出したのだった。

＊＊＊＊＊

「A～、まだこれやるの～？」

「うん。まあ、今日で終わりでいいかな」

「！」

「次は素引きとゴム弓ね」

「？」

徒手での射法八節だけで1週間。Aはここまで耐えたことに驚いていたが、さすがに飽きてきた2人の様子を見て、次の練習を提案した。

「弓、持っていいのか？」

「うん。素引きからやろっか」

Aが見本を見せると、2人も真似をする。

「…………」

「……A、顔に出てるぞ」

「え、ごめん」

シンプルに下手だなあと思ったAだが、気を取り直して指導を再開した。