【ツルネ】辻峰高校弓道部、発足秘話【辻峰高校】 (ページ22)

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Aのバイト先は辻峰の最寄り駅から2駅離れた近場にある。都会のようにメイド喫茶はそう多くはないため、探そうと思えばすぐに見つかる店だった。

「おっ……かえりなさいませ、ごしゅじんさま……」

数日後、得意げな表情を浮かべる荒垣と樋口を、A――もといメイドの"まいまい"は出迎えることとなった。

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「A、プロだったな」

「うん。すごい、メイドさんだった」

初めてのメイド喫茶を訪れた帰り道、荒垣と樋口はその良さに目覚めかけていた。

「「通うか……」」

メイド喫茶の物価は高い。貯金しよ、と決意を固めた2人であった。

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数日後。この日は勉強会の開催日だった。

気楽にだべれて長時間いられる場所ということで、樋口の自宅に集まっている。樋口の両親は仕事に出ており、家には3人だけだ。

「Aー、お腹空いた」

「いや、なんで私に言うの」

「何か作って」

「人んちの台所勝手に使えないって」

「使っていいよー」

「A、料理得意なのか？」

「Aって、いつもお弁当自分で作ってるんだよね？」

ぐいぐいくる質問責めに、Aは困惑していた。何故樋口が弁当のことを知っているのかも謎だったが、Aがクラスメイトの女子との雑談で話していたのを小耳に挟んだらしい。

「おれ、オムライスがいいな～」

「いいな。俺もお腹空いてきた」

「ほんと自由だよね君ら……」

とはいえ昼前から集まっているから、Aも小腹は空いていた。Aは別に少しの間食べなくてもどうってことはないが、食べ盛りの成長期男子はそうもいかないらしい。

結局、樋口が冷蔵庫を物色し、オムライスをAが振る舞うことになった。