【ツルネ】辻峰高校弓道部、発足秘話【辻峰高校】 (ページ19)

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「……荒垣、スケベな理由で後ろ乗せたでしょ」

「……否定はできない」

「Aー、次おれの後ろね～」

「樋口はオープンすぎ」

Aの呆れたようなツッコミに、うんうんと荒垣は頷いた。

まあいいやと思い、Aは樋口の後ろにも乗る。

「ねえねえA」

「ん？」

「Aって何カップ？」

「は？」

こいつ、ついに聞きやがったぞ――と、荒垣は驚く一方で、普通にその解答は知りたいので余計な口は挟まない。

Aとしては、サイズを知られることはそこまで気にしてもいなかったが、興味津々な相手にわざわざ教えてやるのはなんとなく気恥ずかしさがあった。

「さあ、最近採寸してないからわかんない」

「え～、じゃあ、最後に測ったときは？」

「それ、そんなに知りたいの？」

「知りたい～。A、おっきいよねぇ」

「まあ、Fだしそれなりに。遺伝だからね、こういうの」

胸の大きさを話題に出されることには慣れていたAだが、さすがに異性にここまでつっこまれたことはない。もはや女子だと思われていないのではという疑問が生まれつつ、さっさと話を切り上げるため、"遺伝だから"という誰もが納得する理由を添えることで終わらせることにした。

ちなみに、実を言えばAはFカップではない。最近またサイズが変わったばかりで、目下の悩みは足元が見えず段差でつまずくことだった。これ以上の成長はそこまで望んでいないものの、かわいがっている年下の恋人が喜んでくれることに満足を覚えていることもあり、嬉しいけど悩ましい、そんな微妙な状態で。

しかし、そんな機微をAは表には出さない性格だ。だから、荒垣や樋口には"気にしない奴"だと思われていた。それは事実であるが。