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「……さすがに寒いな」

「……むり〜……」

「…………」

「Aが凍ってる」

屋外弓道場の冬は厳しい。

「A、大丈夫?」

「……だいじょばない」

「荒垣ー、A、だいじょばないって」

「早く片付けて帰ろう。日も落ちてきたし」

「お腹空いたな〜。何か食べてかない?」

「Aも行くだろ?」

「……うん」

寒いと言いつつまだ動ける荒垣と樋口。弓道着の上から学校指定のジャージを羽織り、せっせと片付けを始めた。

*****

「Aって電車通学だっけ」

「うん」

「おれたち自転車なんだよなぁ。どうしよう」

「後ろ乗ってく?」

「いいの?」

「あ、荒垣ずるい〜」

「じゃあ、ジャンケンで勝った方の後ろで」

荒垣はグー、樋口はチョキを出した。荒垣は出したグーをそのまま天に掲げる。

Aは荒垣の自転車の荷台に乗った。

「人の後ろ、乗ったことない。合ってる?」

「ああ。落ちるなよ」

「うん……っ!? えっ、おちるおちる!」

道路のちょっとした段差を通過するときの衝撃で、思いのほか揺れたことで荒垣の背中にとっさにしがみついたA。荒垣は思わずブレーキを握った。

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作者名:三宮 | 作者ホームページ:https://alicex.jp/riiiiidoooosog7/  
作成日時:2023年6月26日 0時

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