冬 ページ18
「……さすがに寒いな」
「……むり〜……」
「…………」
「Aが凍ってる」
屋外弓道場の冬は厳しい。
「A、大丈夫?」
「……だいじょばない」
「荒垣ー、A、だいじょばないって」
「早く片付けて帰ろう。日も落ちてきたし」
「お腹空いたな〜。何か食べてかない?」
「Aも行くだろ?」
「……うん」
寒いと言いつつまだ動ける荒垣と樋口。弓道着の上から学校指定のジャージを羽織り、せっせと片付けを始めた。
*****
「Aって電車通学だっけ」
「うん」
「おれたち自転車なんだよなぁ。どうしよう」
「後ろ乗ってく?」
「いいの?」
「あ、荒垣ずるい〜」
「じゃあ、ジャンケンで勝った方の後ろで」
荒垣はグー、樋口はチョキを出した。荒垣は出したグーをそのまま天に掲げる。
Aは荒垣の自転車の荷台に乗った。
「人の後ろ、乗ったことない。合ってる?」
「ああ。落ちるなよ」
「うん……っ!? えっ、おちるおちる!」
道路のちょっとした段差を通過するときの衝撃で、思いのほか揺れたことで荒垣の背中にとっさにしがみついたA。荒垣は思わずブレーキを握った。
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作者名:三宮 | 作者ホームページ:https://alicex.jp/riiiiidoooosog7/
作成日時:2023年6月26日 0時