ただのファンだったんですよ？ (ページ24)

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悩みページ24

その日の塾

翔「それで、ここに代入して…」

せっかく翔くんが教えてくれているのに、
上の空になってしまう。

翔「Aちゃん？聞いてる？」
『は、はい!!そしたら関ヶ原の戦いになったんですね。』

翔「いや、俺教えてるの数学…笑」

『あっ、ごめんなさい!!』

あんまり集中できてないみたいだから…とちょっと早めに帰ることに…

翔「じゃあ、俺はここで。ほんとは送ってあげたいんだけど…」

翔くん、まだあの時を引きづっている。

じゃあと言って背を向ける翔くん。私は咄嗟にその腕を掴む。

『大丈夫です。私は、もう誰に見られても大丈夫です。私の家でもどこでもいい。だから…』

もう、翔くんから逃げない。

まだ、自分の気持ちは、はっきりしないけど…

翔「そっか。じゃあ、お言葉に甘えて…」

翔「お邪魔しますー」

母「おかえり…って、櫻井さん!?」

『ごめん、お母さん。ちょっと翔くんじゃなかった、櫻井さんにお茶かなんか出して…』

翔「あー、お構いなく！」

翔くんを部屋に入れて

『ほんとで家なんですね。』
翔「一番、見られないかな？って思ったんだけど」

確かに…

するとお母さん登場。

母「ほんとでイケメンね。A、大野くんのこと聞いといてね！」

『ちょっと、お母さん!!』

母「ではごゆっくり!!」

もう、お母さんってば…

『ごめん、お母さん、大野くん大好きで…』

翔「そうなんだ笑」

『まったく、目の前の櫻井翔を見なさいよ。』

というか、普通の友達が来たテンションだったよね？

翔「じゃあ、智くんの話する？」
『興味あるけど、とりあえずどうぞ。』

私は翔くんにオレンジジュースを差し出す。
あっ、オレンジジュース…

翔「あの時もオレンジジュースだったね…」
『っ、うん。』

急な沈黙。き、気まずい。

翔「俺さ、」
『ふぁ、い！』

翔「いや、どんな声!?笑」

しまった、唐突すぎて変な声が…

翔「ははっ笑
俺さ、もっとラップ上手くなりたいんだよね…」

『そっか。今でも上手いっていうか、楽しいよ、翔くんのラップ。』

翔「ありがとう。でも、ダメなんだ。ただでさえアイドルがラップをするのに抵抗がある人だっているのに、今のままじゃ嵐は上にいけない。」

翔くんの目がとても真剣で、視線を外すことができない。

『すごいな、翔くんは…』
翔「ん？」

『だって、ちゃんと目標を持ってる。』

私には、何もないんだ。