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No.03 後編 ページ9

「じゃあフィーがセンパイの戦い見てる!」
フィルルは返した。彼は終始笑顔だったが、心の中は
「そうじゃないんだけどな」
と言う文字でいっぱいだった。

フィルルは霊寿に飴を押し付けて満足したのか、医務室から出て行った。霊寿は響の治療を再開する。

「…みんなのフィルルはいつも天使で小悪魔なんだから」
フィルルは自分の両頬を両手でぱちんと打った。
フィルルは、自分に相応しい死に場所を探して日々戦っている。相応しくない場所で、相応しくない死に方で、誰の記憶にも残らず死ぬなんてごめんだった。

居場所を勘違って戦う響と、
死に場所を探して戦うフィルル。
両者は確実に違っても、互いを見捨てるなんてことはしなかった。フィルルが気掛かりだったのは氷子のことだ。

「あの子…、どこに行ったんだろ。アンチの職員以外の居場所を捕捉するのは難しいし、死亡者も増えないし、殺さず殺せず、死なず死ねず…ってところかなぁ?」
フィルルは新しい棒付き飴をポケットから取り出し、包装紙を破いた。フィルルが好きな味は、“ウルトラ激かわ♡わたあめ味”で、好きな理由はピンクと水色のパステルカラーのマーブルの見た目が可愛いからだ。
フィルルは飴を咥え、ポケットの中に手を押し込んだ。瓶は無くなっていなかった。安心して、そのまま人差し指の爪で瓶をコンコンと小突いた。
匠が残した物が今もある嬉しさと悲しさと怒りが、飴の味に混ざって口の中に広がる。
フィルルは元来、グレープフルーツの様なぐちゃぐちゃな味が好きだった。でも、グレープフルーツ味の飴を買うフィルルは可愛くないから。

今日も、瓶を爪で小突く。



▼フィルル・キャンディー
▼渡辺睦美
▼榊原霊寿
▼キリュウギ
▼卯月赤葉

No.04 “愛は無意義か、有意義か”→←No.03 中編



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低浮上の私。(プロフ) - ももさん» ありがとうございます、頑張ります (2月28日 18時) (レス) id: 42776d6356 (このIDを非表示/違反報告)
低浮上の私。(プロフ) - 裏華(うらか)さん» ありがとうございます、少々お待ちくださいね (2月28日 18時) (レス) id: 42776d6356 (このIDを非表示/違反報告)
もも - めっちゃ楽しみ♪♪♪ (2月27日 20時) (レス) id: 12bc70a190 (このIDを非表示/違反報告)
裏華(うらか) - 続きが気になります・・・‼︎ (2月27日 17時) (レス) id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
低浮上の私。(プロフ) - りこーだぁ☆さん» ありがとうございます、頑張らせていただきます (2月27日 17時) (レス) id: 42776d6356 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:低浮上の私 | 作成日時:2024年1月22日 20時

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