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No.02 後編 ページ6

響の考え得る中で、一番最悪なケースだ。

遠のいていく響の意識。最後に聞こえたのは、
「君になら我が身すら捧げられる!!なんて光栄なことなんだ!!!」
と言う鉄郎の狂気の叫びと、鈍い悲鳴だけだ。

「………っは?!?!」
響は勢いよく体を起こす。辺りを見渡すと、そこは、反対勢力(アナタノアンチ。)運営の組織病院だった。
「目が覚めたかい。ったく、君はおじさん遣いが荒いんだから。」
和爻がため息をつくと同時に、奥の方から霊寿がゆらゆら歩いてきた。
「響先輩、おはようございます。今は27日ですよ。」
霊寿の言葉に、響は日を数える。27日と言うことは、倒れてから2日程経っているのだろう。
「……今何時ですか。この病院にいると時間感覚が狂う」
和爻は無言で時計を指差した。十時半を過ぎているが、午前だろうか?午後だろうか?
霊寿は奥に向かってキリュウギを呼んだ。と同時に、ばたばた音を立ててキリュウギが走ってくる。手には響の斧が握られており、その表情は少し険しく、一歩一歩に怒りが込められた歩みだ。
「この斧。…ダイヤモンドとでも撃ち合いでもしたのか?コイツにこんなにでけぇ亀裂が入るとはな」
ずいっと斧を差し出す。嫌味と皮肉が込められた言葉に、響はベッドに座ったまま少し体を逸らせた。
「暫くコイツは使えねえよ。一週間は待っててくれ」
キリュウギはそう吐き捨てると、足早に去っていった。
「先輩もですよ。貴方は全治1ヶ月です。武器が治っても暫くは出撃を容認できませんからね。」
霊寿はパソコンに向き直り、データを打ち込んだ。遠目ながら見てみると、“心臓近くの主要な血管に損傷・打撲”と記載されていた。響は大きくため息をついた。
「君がダウンした後、代わりに駆り出されたのは卯月ちゃんとフィルル君だから。」
和爻はうんうんと頷いた。卯月赤葉は非戦闘員で、基本的には事務を担当している。響と一番顔を合わせることが多い職員だ。
確かに赤葉は少し戦えるが、貴方が戦えばいいだろ、とは口が裂けても言えなかった。話が長くなるからだ。
これから1ヶ月間ここで療養生活か。と思い、響はまた俯いてしまう。
「そう言えば、天神ちゃんは捕捉不能になっちゃった。要するに行方不明さ。」
響は大きく声を上げた。そこで体に過剰な負荷がかかり、また意識を失った。

baton touch→フィルル・キャンディー
▼小鳥遊鉄郎
▼天神氷子
▼榊原霊寿
▼キリュウギ

“救いのカタチ”
終わり

No.03 “見えなくとも、こちらも戦い”→←No.02 中編



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低浮上の私。(プロフ) - ももさん» ありがとうございます、頑張ります (2月28日 18時) (レス) id: 42776d6356 (このIDを非表示/違反報告)
低浮上の私。(プロフ) - 裏華(うらか)さん» ありがとうございます、少々お待ちくださいね (2月28日 18時) (レス) id: 42776d6356 (このIDを非表示/違反報告)
もも - めっちゃ楽しみ♪♪♪ (2月27日 20時) (レス) id: 12bc70a190 (このIDを非表示/違反報告)
裏華(うらか) - 続きが気になります・・・‼︎ (2月27日 17時) (レス) id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
低浮上の私。(プロフ) - りこーだぁ☆さん» ありがとうございます、頑張らせていただきます (2月27日 17時) (レス) id: 42776d6356 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:低浮上の私 | 作成日時:2024年1月22日 20時

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