アナタノアンチ。 (ページ4)

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No.02　“救いのカタチ” ページ4

被害者：小鳥遊鉄郎、天神氷子

「僕は…殺されたはずじゃ？」
鉄郎は目を覚ました。周りには灯りのついたビルばかりが並んでいる。明らかに少し発展していて、元々いた世界ではないと思われる。
「見つけた。」
響はボソッと呟いた。
禍異物(マガイモノ)の被害者は、その大抵が襲われている途中に発見される。
しかし、鉄郎は早くに見つかった。
反対勢力(アナタノアンチ。)は、『世界観の移動をした時』に禍異物(マガイモノ)の存在を記録する。
そのため、禍異物(マガイモノ)の発見は、発生した時ではなく、世界観移動をした時に初めて通知されるのだ。故に駆けつけるのも、対処するのも遅れてしまう。
鉄郎は、禍異物(マガイモノ)でもないのに世界観移動をしたのだ。最近はこのような異常事態が稀に起こるため、響は疲弊していた。
「貴方、小鳥遊鉄郎さんで合ってます？」
響が声をかけると、鉄郎は目を合わせた。
「合ってるが、なんで知ってるんだい？僕の信者なのー…」
鉄郎は言葉を詰まらせる。
自身はもう信仰をされるような身では無いと、一度思い知らされたからだ。鉄郎は『神が存在する世界』からきた人間であり、神から祝福を授かった教祖だった。しかし、祝福を失ってしまい、「祝福を持たない教祖は不要」とされて殺されてしまった。…はずなのだ。
「いえ、貴方別の世界から来ましたよね？そう言う人たちを守る仕事をしてるんです」
響はぎこちなく微笑んだ。
「僕は伊春田ひび…」
響の言葉を遮るように、端末が通知を知らせた。
《禍異物(マガイモノ)発見、伊春田隊員の近くの上空から侵入。ランダムに角を曲がり走り回っているが、接触まで五分程度を予測》

《『ゲームの世界』から来た“天神氷子”と見られる》

響は自分の影に手をつけた。影は液体のようになり響は何かを掴む。それを一気に引き抜くと、大きな斧になり色付いていく。
「何だその斧はっ？！とても神々しいね！！君も祝福を与えられたの？！」
鉄郎は興奮して大声を上げる。
「この世界に祝福とかの概念はないですからっ…危険なので僕の後ろにいて下さい！動かないで！！」
響は無理やり鉄郎を後ろに押し込む。と同時に、誰かが走る足音が聞こえてきた。響が警戒する。足音の方へ斧を構えると、丁度氷子が路地から出てきた。
「あ！人だ…ねぇ、この辺り全然誰もいないね。ちょっと寂しい感じ！」
響は斧を持つ手を少しだけ緩めた。