アナタノアンチ。

No.“04.5”　噂流出編▶︎開始予告 ページ13

青羽紗凪は笑みを零した。
「うわぁ…カッコイイなぁ！アナタノ…アンチ？私もこんなヒーローになりたい！」
紗凪が住むのは《噂話の世界》で、様々な世界に飛び交っている噂、それが実現した世界が球状になって沢山浮かんでいる。その全てを俯瞰して見ることができるのだ。
最近紗凪が釘付けになっているのは、『反対勢力(アナタノアンチ。)』と言うヒーロー達が化け物と戦っていると言う噂。噂の世界に干渉することはできないが、外から見続けるのはできる。
他の噂には見向きもせずに、良く見えるように大きくした噂の惑星(ドリームプラネット)でずっと見ている。
「あー最高！特にこの…フィルル？と響？って子！！可愛いし格好いいし強い！！」
噂を一時間以上見続けることは、三時間ほどの映画を三画面で同時に見ながら内容を暗記するのと同じくらいに脳に負担がかかる。まず噂を理解しないとならないのだから、疲れるのも納得だ。
「というか…誰が噂してるんだろう？記憶処理をしてるって言ってるし、誰も知らないはずなのに…」
紗凪の声は妙に響く。一人しかいない上他の音もしないので響くのは当然だが、今日はなんだか違うように感じたのだった。

「誰かが、噂を流してる…？」

紗凪にそれを確かめる術はない。待つしかない、
“誰が最初にアナタノアンチを知ったのかと言う噂”
が流れるのを。

▼青羽紗凪

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