ウォールフラワーを貴方へ 。（ ar × ym ）

story 10 ページ11

( 山田 )









___ じりりりり …




鳴り響く目覚まし時計の音で瞼を上げる 。






どよーんとした 、 気持ちまで下がるような湿っぽい空気 。



窓の外を見ると雨が降っていた 。



もう最悪 。 会社まで結構あるのに 。





行き場のない愚痴をこぼしながら

黒いスーツに着替える 。




鏡を覗くと少しだけ隈ができてて

この時初めてあんまり熟睡してなかったかも 、 って気づいた 。




最近 大ちゃんが帰ってくることに期待して

結構遅い時間まで起きてたり 。 無意識だけど 。


こんなこと知念が知ったら

いい加減諦めればいいのに 。 なんて言われちゃうんだろうなあ 。




しょうがないじゃん 、 大好きなんだもん 。


きっと俺は大ちゃん依存症だもん 。







そんなこと考えたらちょっと泣きそうになったから

ぱしっと頬を叩いて気合を入れる 。


仕事だし 、 頑張らなきゃ 。









.









リビングに出たらなんとなく違和感 。

分かんない 。 なにかは分からないけどなんか違う 。

家具の位置 ？ 物の数 ？ 全部違うようで 、 同じような 。



気のせい

今日はもう行かなきゃいけないからその言葉で片付けることにした 。






靴を履いて傘を持ち玄関のドアを開ける 。



と 、 すぐ横に傘をさしながらスマホを弄る人影 。



…… え 、 ストーカーとか ！？ 俺男だよ ！？

でも今ってそういう人もいるんだっけ …


嘘 、 どうしよ ……






「 …… 遅い 、 」




「 … え 、 」





聞き覚えた声に顔を覗けば

いかにも不機嫌そうな顔をした知念だった 。



けど鼻が真っ赤で 、 この季節の雨なんて寒いだろうな

なんてなんだかちょっと可愛いくて 。





「 ふふ 、 おはよう 」




「 … うん 、 おはよ 」







微笑んだ知念にちょっとだけ胸が弾んだのは


…… まさかそんな訳ない 。


可愛いかったから 、 ただそれだけ 。









...

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