午後三時【ほのぼの】 ページ9
時刻は午後三時。世間一般ではこの時間に一休みをしてお茶を飲みながらお菓子を摘みながら談笑するらしい。
この時間になると決まって私はお茶を淹れる。別段、ひと休みするわけじゃない。そんな時間があるなら授業を受けるか鍛錬をしたいところだが、とある人の依頼/雑用でこの時間だけはどうしても予定を空けざるを得ないのである。
この生活を繰り返して早数ヶ月が経った。急須と湯飲みを御盆に乗せ、いつものように校舎から少し離れた小屋へと歩いていく。
目的地に到着すると扉を二回叩く。
扉を隔てた向こう側から、「どうぞ〜」と聞き慣れた言葉が返ってくる。
ガラリと扉の音を立て遠くに視線を送る。その先にはソファで寝そべっている男性、五条先生の姿が映っている。
「先生、お茶淹れましたよ」
「お、気が利くねぇ。ありがとうA」
先生は身体を起こすと机に置かれた湯飲みを手に取った。
「ん、美味しい。やっぱAが淹れるお茶が一番だね〜」
「先生が美味しいお菓子を用意してくれるから、それに見合った物を出すのが礼儀かと」
「はは。なるほどね。でも、そんな堅苦しく考えなくていいよ。さ、食べて食べて」
今日のお菓子は、どら焼きと喜久福だった。
「あれ、喜久福あるじゃないですか。出張してたんですか?」
「いいや、ネットで買った。けっこー便利だよねぇ、これ。ボタンを押すだけで買えるなんてさ!」
「わざわざ店まで行かなくても商品を買えるのは良いですよね。私も通販とか利用しますし」
「へぇ〜、何買うの?」と先生が聞いてきた。私は、「色々ですよ」と曖昧な返事をすると、少し不服そうな顔をした。
別に隠すほどの事でもないのだが変に詮索されるのも嫌なので一応釘を刺す。
「そんな顔しても言いませんよ?」
「だろうね〜……これ以上聞いたらプライバシーの侵害になるからやめとくよ」
先生は湯呑みに入っていた分を飲み切ると新しくお茶を注いだ。
私は喜久福を手に取り一口食べる。
「これ、いつ食べても美味しいですね。先生がリピートする理由、分かるかもしれません」
「でしょ?! それに、この店は喜久福以外のお菓子もどれも美味しいんだよね〜。あ、因みにこの商品なんだけど……」
先生は熱意のこもったプレゼンを私にした。
その姿が可愛く見えてしまい思わず笑ってしまったのは言うまでもない。
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作者名:弓兵 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/archer0/
作成日時:2020年10月14日 23時