11月23日ですね【ほのぼの】※【11月22日ですね】の後日談 ページ25
「A! 今日は何の日かな?」
「勤労感謝の日ですよね?」
「それもそうだけど、今日は
「このやりとり前にもしましたよね?」
プロポーズされた日もこのような会話をしていた。それから年月が経ったのかと思うと感慨深くなる。
「これやっておきたかったんだ〜。じゃあ、いつもの始めるね」
先生は改めて私に向き直る。
「いつも僕を支えてくれてありがとう。毎日奮闘する君の姿は素敵だよ」
「こちらこそ、私のことを守って下さってありがとうございます。毎日あなたの笑う顔が見れて幸せです」
結婚して以来、この日はお互いに一言ずつ労いの言葉をかけ休日を過ごすようにしている。
この穏やかな時間が私は好きだ。
「でも、一つだけ不満な点があるんだよね〜」
先程と打って変わって、先生は眉間に皺を寄せ渋い顔をする。
その言葉を聞いた途端、私の身体は一瞬にして強張った。その後に続く言葉と場面が想像に容易い。
そして、その予感は見事に的中する。
「いつになったら『悟』って呼んでくれるのかな?」
「…………」
そう。私は結婚して以降、先生を下の名前で呼んだことがないのである。
彼からは、「名前で呼んで欲しい」と再三言われているのだが中々言うことができず、それとなく避けていたもののついにここまで来てしまったのである。
プロポーズされたあの時の先生の言葉を借りるなら、『優しさに甘えている』状態である。
「そ、それに関してはもう少し時間を下さい」
「その言葉、去年も聞いたよー?」
逃げたい。この場から猛烈に逃げたい。
そんな私の気持ちを読み取ったのか先生の腕が私の腰に回される。
つまり、退路を塞がれてしまった。
「ねー。君は努力を怠らない人だから、頑張れば僕の名前も呼べるよねー」
私に向けられた笑顔が怖い。しかし、私にはもう後がない。
(やるしかないか……)
腹を括り、圧に耐えながら口を動かす。
「さ…………悟、さん…………」
恥ずかしくて死にそうだ。
「あ、あの。名前で呼びましたし、もう放してくれませんか?」
彼は放すどころか私を自身の方へと引き寄せ呟いた。
「もう一回言って?」
「い、今言ったじゃないですか!」
「あれじゃ足りない。ね? いいでしょ?」
珍しく甘える姿の可愛さに負け、もう一度彼の名前を呼ぶ。
彼もまた愛しむように私の名前を呼んだ。
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作者名:弓兵 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/archer0/
作成日時:2020年10月14日 23時