28*2 ページ30
結局雅紀に翔のほしい物を聞いたとき、身のある返答はこなかった。
『Aが選んだものならなんでも嬉しいんじゃない』
でも結果よかった。
もし雅紀が知ってる翔のほしい物を私があげてしまったら、それは失礼な気がしたから。
私もちゃんと自分で選べてよかったって、目の前で喜んでくれた翔を見て、心からそう思えてる。
それからご飯を食べた。
翔からリクエストされたのはナポリタンと手作りケーキ。
何でナポリタン？と思ったけど、そのときに一番食べたかったのがナポリタンらしい。
サラダとスープと、モッツァレラチーズにトマトをスライスして。
そんなに特別感のないメニューになってしまったけど、翔はとても喜んでくれた。
「うめ！」
口いっぱいに頬張って何度も頷く。
「そんなに入れたら苦しくない？」
「うめぇ！」
理由になってない。
でもそれがこの上なく幸せで、ずっともぐもぐしてる姿を見ていたいとさえ思った。
……翔ってやっぱりすごい。
しばらくして食べ終わると、うーんと背中を伸ばす。
翔の家とは違い、狭いワンルーム。
翔の後ろにはベッドがあって、わざとらしくそれに気づく振りをした。
「お。こんなところに」
「…知ってたでしょ」
「ははっ、知らないわけねぇ(笑)」
少しベッドを見つめてから、ちょっと横になってもいい？って。
「うん」
「失礼します」
丁寧にお辞儀して、なぜか顔から枕にダイブ。
慌てて大丈夫って声をかけると、ため息が聞こえた。
「…………はぁ」
「、……なに？」
「ん？深呼吸」
顔を上げずにこもったままの声でもそもそ言ってる。
「……何で？」
「Aのにおい。すげぇいい」
……恥ずかしい。
翔は恥ずかしくないのかな、そんなこと言うの。
「……」
「……やべ」
ぼそっと呟いてかおだけ横に向けた。
目が合って、その視線がさっきより熱くなってるのに気付いて。
「……ケーキ食いてぇ」
「、もちろんいいよ」
用意しようと席を立つと、あ、ってわざとらしく引き留める声がした。
くいくい、と手で呼ばれて。
素直に翔の近くに寄ると、思いっきり腕を引っ張られた。
よろけてベットに手をつくと、目の前に翔の顔。
「……でもA先に食わして」
返事をする前に、頭に腕を回されて引き寄せられた。
ぶつかるその感触に頭がふわっとして。
ケーキの前に、甘い彼の舌が体を這った。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 522人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りな - お願いだから翔くんと幸せになって欲しい泣 こんなに大事にしてもらってるのに相葉ちゃんに戻らないで〜泣 (2020年5月14日 11時) (
レス) id: e2df3a7f4a (このIDを非表示/違反報告)
まにたゃん - 更新楽しみにしてます！相葉ちゃんともうまくいって欲しいけどやっぱり翔くんとの今を大事にして欲しいです (2019年8月9日 14時) (レス) id: 013dbcf72e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうユウ(プロフ) - 今の流れ的には相葉くんともう一度やり直すことになりそう… でも個人的には櫻井くんとこのまま続いて欲しいかな、、続き楽しみにしています！ (2019年5月14日 23時) (レス) id: d4f3dfba4c (このIDを非表示/違反報告)
なおち(プロフ) - 久々更新でも嬉しいです。とりあえずの着地点が見えないからこそ、書き手さんが大変なんだと思いますが。こちらは楽しみにしてます！ (2019年5月10日 22時) (レス) id: 4cd26d7ff0 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 私的には…雅紀くんと…寄りを戻して欲しいかも？ (2019年5月3日 20時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うさこ
| 作成日時：2015年12月23日 23時
