10 ページ10
「じゃあお出掛けはAんちってことで」
「、え！？」
「Aんちも知っとかなきゃ、ツッコまれたとき慌てちゃうじゃん」
「……智の家に一緒に住んでることになってるならいいんじゃないの」
「だーめ。Aのことは全部知っとかなきゃ」
"さ、行こっ"て、私の意見なんか聞かずに、手首を掴んで玄関に向かった。
それからどうにか智を制止させて、持ってたメイク道具で軽く化粧をした。
いつもより大分適当。
それでも寝室から出て第一声。
「Aかわいい」
ふにゃっと笑う智がそこにいた。
……あぁ、これは本格的にやばいかもしれない。
こんなのに慣れちゃったら、一週間後笑顔でお別れできないかも。
職場だって真上だし、ストーカーみたいに見に行っちゃうかもしれない。
……うわぁ、そんな未来が簡単に想像できて怖い。
マンションのエントランスを出て見上げると、出てきたマンションは思ったよりも高かった。
智、どの階に住んでるの…、
そんな疑問はとりあえず心の中に閉まって歩き出す。
智の人差し指がさり気なく触れて、ぴくって反応してしまうけど嫌な気なんか全然しなくて、むしろちょっと温かい気持ちにすらなった。
ドキドキするけど、安心するような、不思議な気持ち。
「A、手ちいせぇね」
「そう？」
「ん。かわえぇ」
「、また言ってる」
「そう？」
「ことあるごとに言ってるよ」
「んふ、そっか。思ったことすぐ声ん出ちゃうからなー」
「、」
「Aかわいーから心の声漏れてっかも」
目尻を下げて、私の方を見た。
……胸がぎゅううって。
ああ、やっぱりこれはまずいよ。
本当にこんな人と一週間も隣にいたら、私……
私の家の最寄り駅から徒歩5分。
智の家とは全然違う、築40年以上の黄色い建物。
出窓がついていて、実はそこが気に入って借りたお部屋。
「…玄関の外で少し待っててくれる？」
「ん」
「いいって言ったら来てね」
すごく散らかってる訳ではないけど、週末掃除しようと、一週間分のゴミが溜まった部屋。
髪の毛とか埃とか、やっぱり気になる。
女子だもん。
バタバタと片付けてると、"全然きれーじゃん"って思いの外近いところから声がした。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 890人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさこ(プロフ) - みーこさん» みーこさん、こんばんは！楽しんでいただけてますかね(*^^*)続き頑張ります♪ (2019年8月21日 23時) (
レス) id: b1c7827c1a (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - ラブラブ過ぎ〜（笑）お似合い過ぎ〜（笑） (2019年8月19日 20時) (レス) id: 84fdbed2f6 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - ようちんさん» ようちんさん、はじめまして！楽しんでいただけてるようでうれしいです！無邪気な智君、大好物です(笑)続きもがんばります(*^_^*) (2019年7月17日 20時) (レス) id: b1c7827c1a (このIDを非表示/違反報告)
ようちん(プロフ) - うさこさん。はじめまして！お話しすごいおもしろいです！仮の恋人ですけどヤバい！こんな智君なら可愛くて夢中になってしまいますよね！この先の展開が楽しみです！頑張ってくださいね(*^^*) (2019年7月15日 17時) (レス) id: 1b12d1d40f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うさこ
| 作成日時：2019年3月16日 10時
