甘い囁きは、教室で 2【N/O】10/28 (ページ30)

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70お礼ページ30

「……」
「……」

「……、出来ました」
「ん。」

私が問題を解いてる間、二宮先生は借りた小説やら難しそうな本もたまに読んでる。
この前金色の表紙のニュートリノって本を読んでた。
『へぇ』ってたまに心の声が漏れてる。

「……正解。だいぶ正解率上がってきたな」
「二宮先生のおかげです」

いつもひとつ空けて隣に座る二宮先生。
私が問題解いてる時は、机から少し離れて椅子に座って膝に肘をついて、猫背で本をじーっと読んでる。
たまにその尖った唇を盗み見てることは、きっと、気づかれてない。
目が好きだなって、やっぱり思う。
鼻も意外に高いなって。
唇は薄くて、真剣になるとちょっとだけ尖らせる。
この横顔を見られるのも、もしかしたら今日で最後？

……寂しいな……、

「……」

寂しい……
寂しいな、私。
二宮先生と図書館でこうやって会えなくなるの、寂しい……

「そろそろ帰るかー」
「、あ、あの、」
「ん？」
「私、先生にお礼をと思って」
「お礼？勉強教えたお礼？」
「もちろん。わざわざ時間割いて勉強見ていただいて、ありがとうございました」

座ったまま頭を下げる。

「くはっ、図書館で変な図だな(笑)外出る？つーかなんか食う？奢ったる」
「や、それは申し訳ないというか、」
「生徒のくせに先生に遠慮すんなよ(笑)」
「……」

お礼……
何が私に出来るかわからないけど、私が考えつくのなんてお金のかからない簡単なこと。
どうしよう、何しようって考えて。

「……お弁当……」
「へ？」
「……作ってきた…んですけど、」
「……」

二宮先生が、鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔してる。
、やっぱり、迷惑だったかな、
どうしよう、出過ぎた真似しちゃったかな、っ、

「いや、お礼をなにか、しなきゃと思って、私ができることって限られてるなって、」
「で、弁当作ってきたと」
「……はい」
「ふふ(笑)、どこで食う？」
「え、いいんですか、」
「いいもなにも、あんでしょ？俺腹減ってるし、食わなきゃ勿体ねぇ」
「……」

……よかった、拒否られなくて。

*