甘い囁きは、教室で 2【N/O】10/28 (ページ29)

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69嬉しいのかもページ29

「…ありがとうございました」
「無理すんなよ」
「はい」
「じゃまたな」
「また」

二宮先生の車の後ろ姿を見送って。
なんとなく、見えなくなるまで見てたら、最後にハザードがパカパカ2回点滅した。
…もしかして、わざわざ私に挨拶してくれたのかな。
それにちょっと嬉しくなって、家の門扉に手をかける。

やっぱり少しは、二宮先生が私を特別に感じてくれてるんじゃないかって思いが顔を出す。
もちろん恋愛対象じゃなくて。
生徒の中では話しやすいとか、絡みやすいとか。
…生徒の中でなら、私って二宮先生の中で一番なのかもって。
何となくそんなことを考えて、ニヤけた。
いや、好きなわけじゃなくてね？
ただ、特別だと思ってくれてるんじゃないかって考えたら嬉しくて。

、嬉しい？！

……そっか、嬉しいのかも、、
あんな嫌いだったはずなのに、
……嬉しいのかも……

それから夏休みの間、暇があれば図書館に通いつめて。
二宮先生も私が"全然現れない"と言ったことを気にしてくれてるのか、
木曜日だけじゃなくて火曜日も現れるようになった。
お盆はいつもおばあちゃんの家に行くことになってたけど、さすがに受験生だから勉強したいって家にいさせてもらった。
だって火曜と木曜があったし。
もしかしたら、二宮先生が来てくれるかもしれないし。

でもその2日は現れなくて。
まぁ仕方ない、お盆だもん。
二宮先生だって実家とか、行かなきゃだろうし。

そして夏休み最後の木曜日。
一昨日は時間短かったけど、顔は出してくれて。
木曜は見てやれるからって帰っていったんだ。
だから今日は、確実にくる。
二宮先生がわざわざ自分から言うなんて、初めてだもん。
約束……したのがちょっとくすぐったいけど、勉強見てもらうだけだし。
教え方が上手いから、早く早くって。
心が逸る。

「こんちは」
「こんにちは」

だいぶ当たり前になってきた二宮先生との挨拶。
夏休み最後の、だと思うと、ちょっと不思議な感覚だけど。
来週からは学校で会えるもの。
、、会える？
違う違う、学校で顔合わせるだけっ、

……て……
……そっか、もう勉強教えてもらえないのかな、
こんなに分かりやすいのに……

*