甘い囁きは、教室で 2【N/O】10/28 (ページ21)

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61ヤキモチ？9/10 ページ21

「うん。俺ね、今Aちゃんの気持ちがこっちに向かってないことは知ってるよ」
「、」
「でも、この先Aちゃんと俺が並んで歩いてる図っていうの？なんかね、そういうのが見えるんだよね」
「え…」
「俺、Aちゃんと付き合うなって、そんな予感しかしない」

"気持ち悪ぃね"って自嘲して、恥ずかしそうに頭を掻いた。

「、そんなこと、」
「……てことは、俺はその未来を信じてていいってこと？」
「、」

……智くんはずるい。
そんな言い方されて、やっぱり返す言葉は見つからない。

「さっきの話の続きだけどね、付き合ったって言っても、1週間くらいだよ」
「、え？」
「こっちから全然はなしかけなかったら振られた(笑)」
「……」

楽しそうに笑ってる。
え、1週間？
それって付き合ったうちに入らないんじゃ……

「さっきデートもしたことないっつったじゃん」
「、」

確かに。付き合ったことあるなら、デートした事あるに決まってる。

「でもね、今初めて付き合ったことあるんだかないんだかって話が、役に立った」
「え…」
「Aちゃんがヤキモチ妬いてくれた(笑)」
「、っえ！」

照れながらへへって。
……かわいい。
悔しいけど、っていうかむしろ悔しくもないほど、智くんはかわいい。

「ヤキモチじゃないけどね」
「んふ。そ？」
「そう」

全然焦ってない自分に"私結構大人かも"とか思ったり。
こんなこと言われて可愛いとか。
みんなと別れてたわいもない話をしてふたりで並んで歩いて。
バスに乗り込むと、夏休みだから結構学生が多い。
あ、あの子達中学生のなのかな。
男女2人で隣同士で、嬉しそうに笑いあってる。

……そっか、ああいうのが付き合ってるってことなんだって。
ふっとそう思った。
あんなに嬉しそうに、はにかんで。
女の子が男の子を見る目なんて、傍から見たって恋する乙女でこっちが恥ずかしくなるくらい。
…でもいいなぁって。
あんなふうに笑い合える人がいるって、すっごく幸せなんだろうなぁって、初めて思った。

*