甘い囁きは、教室で 2【N/O】10/28 (ページ20)

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60付き合ったことある？ページ20

少し考え込んで、ちらっと私の方を見た。

「……Aちゃん、付き合ったことあんの？」
「え？」

……突然？

「…ないけど…」
「、そうなんだ？」
「、」

智くんの声がワントーン高くなって、やっぱりちょっと嬉しくて。

「…智くんは付き合ったことあるの？」
「え、……うん」
「え、」

……それは、あるってこと？
付き合ったこと、あるの……

「……あるんだ？」
「あ、…………うん……」
「……」

……なーんだ、あるんだ。
なんだろう、このガッカリ感。
確かに智くんが、ちょっと慣れてる感っていうか、そういうのあるなとは思ってたけど、

……付き合ったことあるんだ……

「……」
「、でも、ね、」
「いつ？」
「え、」
「いつ付き合ってたの？」

できるだけ冷静に。
笑顔で全然気にしてないような口ぶりで。

「……中三」
「、」

…中三って去年じゃん。
私は3年前だけど？
去年じゃん、中三なんて。

「……」
「、や、でもね、告られて、それで、」
「別にいいよ？イマドキ付き合ったことあっても不思議じゃないし。ていうか、普通付き合ったことくらいあるもんね。」

言っててちょっと虚しくなる。
私だって好きな人はいた。
でも付き合うとか……中学生の私にはちょっと異次元の話で。

「別にいいよ、付き合ってるわけじゃないし」
「……」
「ていうか付き合ってたとしても、過去をどうこう言うとかないでしょ(笑)ましてや私、智くんのこと好きなわけじゃ、……」

……しまった……
…なんて思っても、後の祭り。
私のことを好きな子って言ってくれた相手に対して、好きなわけじゃ、って…、
しかも智くんはいい子なのに。

「……好きなわけじゃない？」
「え、」
「そっかぁ、そうだよね」

俯いて笑って。
多分無理して笑ってる。
、私、好きじゃないなんて言おうとしたつもりないのにっ。

*