甘い囁きは、教室で 2【N/O】10/28 (ページ11)

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51嬉しいって感情8/9 ページ11

結局"ありがとうございました"を言い忘れたことに気づいたのは、家に帰ってから。
自転車で図書館から立ちこぎして。
なんでか分かんないけど気持ちがとてつもなく高揚して、頭がふわふわしてた。
あんなとこで偶然会ってしまった二宮先生。
勉強の教え方がびっくりするくらいうまかった。
そういえば、塾で教えてたって言ってたな。
いい大学に送り出した、とか……

難しいことはわかんない。
でも、教えることが好きなのかなって。
二宮先生のことを少し知れた気がして、嬉しくて。
あれ、、嬉しいとか変な感情。
でもこれはきっと、嬉しいって感情で…

……なんでだろ……

次の日、プールの日。
暑くて暑くて。
テレビでもこの夏最高の、とか言ってるくらい暑い。
着替えとタオルが入ったビニールバックを持って待ち合わせの駅へ。
暑いから朝一でって、待ち合わせは9時。
平日でも人が多くて、電車に乗るのも一苦労。
通勤の人もいるのかな、大人って大変。
プールに行く人もいるのか、子供連れや私たちみたいなグループでビニールバッグ持ってる人もいる。

…ちょっと緊張。
水着でプールとか中学生ぶりだし、持ってきたのはお腹が出てるやつ。
別にお腹がぽっこり出てるとかではないからそこは気にしてないけど、
……でもやっぱり、プールの授業もないうちの学校。
人前で水着自体が久々すぎて、本当に恥ずかしい……っ、

「A！」
「ナミちゃん！」

駅について改札を出ると、既にみんなが集まってて。

「Aちゃんおはよ」
「おはよ、」

松本くんは全然知らないから、とりあえず会釈だけ。
向こうも頭を下げてくれて、とりあえずプールに向かおうって歩き出す。

「Aと松本くん、初めて？」
「うん、見たことはあるけど」
「友達のA。貴公子は知ってるんだよね？」

松本くんが、"貴公子？"って不思議そうに…怪訝そうに？ナミちゃんに振り向いた。

「あ、ごめんね、大野くん！茶道部のプリンスか！」
「それやめてください、柄じゃないんで」
「ごめん、私が変な事言っちゃったから」
「ふぅん、それで貴公子……(笑)」
「…変なあだ名つけんなよ」
「これから貴公子でいいじゃん(笑)」
「いいわけねぇべ」
「プリンスと貴公子、どっちがいい？」
「ふざけんな」

*