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修行の事を思い出してか少し寂しそうな顔をする朱雀に2人は複雑そうな視線を向ける。

彼は自分が千年以上もの間運命を共にしてきた鬼と決着をつけたのだ。

かつてと大きく変わった容姿にはそれだけの大きな覚悟があったのだと改めて感じた。


「千年以上も過去に飛びかつての主、本当の産みの親、そして彼らが愛した者、そこから時を共に生きる鬼……

様々なものに会い、見て、触れて自分の生まれた意味と守るべきものを確かめた。

“俺”は“我”としてあの鬼、月姫に甘えすぎていた事に気づいた。

共にいてくれることに知らず知らずの内に甘えていたのだ。

あの者の魂が浄化されるまでのつもりであったのにいつの間にかほだされておった。」


かつての主が愛した人を語る朱雀の目に加州と五虎退は息を飲んだ。

その顔はまるで


「愛して、たんだね」


加州の言葉に朱雀は乾いた笑いをこぼす。


「……違いないな。」


寂しそうに呟いた朱雀は杯の中身を飲み干すと空っぽになったそれを見つめる。


「だが、俺には目的がある。

堕ちずの刀、その誇りを失ってでも果たしたい目的がな。

あの者を俺の我が儘で消したくはなかった。

だから成仏をさせたのだ。

博雅様と奏でる最初で最後の笛の音と共にな。


それですべてが終わりだと思った。

だが、帰ろうと踵を返した俺の前に父が立っておった。

すべてを見透かすような顔ですべてを語らない父らしい嫌みな笑顔を浮かべてな。」


「そ、それは怖いですね……」


五虎退がそれを想像したのか苦笑いをこぼす。

今の朱雀はさほど霊力などと関わってこなかった五虎退や加州でもわかるほど“半分闇に堕ちていた”

陰陽師として友を守るために自分が打った刀であることなどきっと天才的な陰陽師、安倍晴明なら容易にわかったことだろう。

そいつが陰陽師の誇りを汚すかのように闇に堕ちていれば何をされるかわかったものじゃない。


「ははっ、違いない。

ここで折られるのかと身構えたさ。

だかな、父は面白そうに笑っておった。

“よい男になったものだ”

そう言ってな。」


楽しそうに目を細める朱雀は清々しそうに笑う。

きっと父親のその一言でなにか思うところがあったのだろう。

加州達には分からない何かをそのたった一言だけで分かり合える1つの絆の形だった。


「いいね、そういうの」


「はい、羨ましいです」


2人のその声に朱雀は楽しそうに口角をあげていた。

父の話→←2



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吹雪(プロフ) - コメント感謝しますm(__)m返信、更新ともに遅れて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします! (2018年10月15日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白いです!更新楽しみにしています(^O^) (2018年10月8日 15時) (レス) id: 43f343ee39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:吹雪 燐 | 作成日時:2018年10月2日 20時

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