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「よしっ、完成だ!」


「いやー、久しぶりにこんなに料理したよ。」


「僕もです。

でも多すぎませんか?」


大広間の机の上にはところ狭しとたくさんの料理と酒が並んでいた。


「ははっ、張り切りすぎた!」


未だに達成感に浸っている朱雀はやりきったというように満足げに笑っている。

加州も五虎退もそんな彼の笑顔に顔を見合わせまあいいかと微笑んだ。


「さてさて後はあやつらを待つだけだな。」


腕を組んで頷いた朱雀の肩に加州は腕を回した。


「ねえ、久しぶりだし先に3人で飲んでない?」


彼のその発言に朱雀はキョトンとした顔をする。


「いいですね!

飲みましょう!」


それに笑顔で肯定した五虎退にも同じ顔を向けるが暫くすると彼もにんまりと笑って頷いた。


「飲もう。」


その言葉を合図にして3人で縁側へ移動する。

つまみは食べずお互いの杯に注いだ酒を一気に煽った。


「あー、久しぶり。

酒のみ2人じゃないけど染み渡る〜」


加州のその言葉に五虎退がクスリと笑い酒を注いだ。


「ねえ、修行の時あんたたちは前の主に会ってどう思った?」


加州は前の本丸の初期刀でありながら未だに修行には出ていない。

加州の極が実装されたのは朱雀が修行に旅立った直後のことだったからだ。


「僕はどちらかというと過去にけじめをつけるというより強くなるために修行に出ました。

その時に前の主様と出会って稽古をつけてもらったんです。

本物の虎はいないけど俺を倒せば虎を倒したことと同義だ、と……

正直にいうと懐かしいそのお姿と声に胸が張り裂けそうなほど高鳴りました。

そしてもう一度この方のお側にお仕えしたいとも考えてしまって……

でも前の主様の元にはその時愛されていた僕がいました。

そして思い出したんです。

零様は僕を、今の僕を愛してくれているってことを。

それ以上に何を求める必要があるのかを考えたら唐突に帰りたくなって前の主様に別れを告げて零様の元へ帰ったのです。」


話終わった五虎退は清々しいほどの優しい顔で微笑んでいた。

その話を聞いた2人も思わず口角を上げる。


「そなたらしい。」


「ホントにね。」


2人の声に五虎退は嬉しそうに笑う。


「有難うございます。」


五虎退の話のあと3人は無言で酒を煽る。

暫くそうしていたが朱雀は唐突に口を開いた。


「俺は過去にけじめをつけるために修行に行ったのだ。」


静かな空間に溢されたその声に加州と五虎退は静かに耳を傾けた。

3→←けじめ



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吹雪(プロフ) - コメント感謝しますm(__)m返信、更新ともに遅れて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします! (2018年10月15日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白いです!更新楽しみにしています(^O^) (2018年10月8日 15時) (レス) id: 43f343ee39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:吹雪 燐 | 作成日時:2018年10月2日 20時

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